百九十七話 いっぱい食べる君 ページ3
その後、私たちは
件の西洋割烹料理店に着いた。
お店の人が蜜璃さんを見て
ぎょっとして厨房へ走ってったから
初来店時がよっぽど印象的だったみたい。
なにはともあれ、
「んー！美味しいっ」
「うまい！うまい！！」
眼下に広がる光景に私は顔を綻ばせた。
テーブルの向かい側に座る伊黒さんも
同じ表情で隣の蜜璃さんを見守る。
「いっぱい食べる幸せな笑顔がただ尊い…！」
小さな呟きに伊黒さんがこくこくと頷く。
食の細い彼もあまり食べないため
テーブルの片側だけに
異様に皿が重なってくのが面白い。
元師範と継子であるこの二人の
明るい食いしん坊な兄妹感は微笑ましい。
「でも……ちょっとヤキモチ妬いちゃうな」
「とてもよくわかる」
またもや私から零れた声が届いたようで
伊黒さんが深く頷いて同意してくれた。
彼にとって杏寿郎さんは仲間なのはもちろん
その父の先代炎柱が恩人であり
さっきも顔合わせて深々と頭下げてたもんね。
そんな杏寿郎さんと
恋慕う蜜璃さんが仲良いのは複雑だろう。
私も蜜璃さんが好きだからこそ激しく同意だ。
でも、杏寿郎さんは彼女が
初めてこのけしからん隊服を着てみせたとき
驚きはしても赤面しなかった。
それは安心なんだけど
蜜璃さんより色気出せる自信が私にはない。
杏寿郎さんが彼女を好きになってしまわぬよう
可及的速やかに伊黒さんとくっついてもらおう！
このお子さま体型で誘惑は厳しいって
あきらめたわけじゃないんだからねっ！！
「蛇さんに触ってもいいですか？」
「別に構わない。鏑丸という名だ」
私が挙手して言うと
伊黒さんが鏑丸を差し出してくれた。
「ありがとうございます。
わあ…っ！冷たくてスベスベだー」
首に巻いたその質感にはしゃぐけど
ただ遊んでるのではない。
(大丈夫だろうか……)
「鏑丸ではさすがに呑み込めぬから安心しろ」
杏寿郎さんが心配そうに目配せすると
それに気付いた伊黒さんが呟く。
蛇に丸呑みされる心配って…私は小動物？
「……ちょっと相談があるんだけど
聞いていただけますか？」
どこが耳かわからないけど
口元を隠して鏑丸にこっそり耳打ちする。
すると、賢い彼は私に目を向けた。
「なかなか進展しない相棒の恋を
一緒に成就させません？」
期待に胸を弾ませながら私が言うと
鏑丸はチロチロと舌を出して首を傾げた。
どこが首かわかんないけど。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
煉獄さんコレクション
煉獄先生 歴史と教育への熱心な姿勢にうっとり！黒板じゃなくて先生だけを見つめちゃうと怒られるよ
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亜紀野ユキ(プロフ) - ゆゆさん» ありがとうございます！続編もどうぞよろしく(^-^)/ (6月2日 0時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - 久しぶりに作品見に来たらたくさん更新されててめっちゃ嬉しかったです！堕姫ちゃんとの関係のところで涙出ました...知らぬ知らぬうちに関係が深まっていって...（泣）来世のお話もすっごく良かったです。みんな幸せになって欲しいな...この作品をずっと応援してます！ (6月1日 19時) (レス) @page40 id: 2307c0fefd (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - みっささん» 嬉しいです！近日中にまた更新します_〆(ﾟ▽ﾟ*) (2023年5月8日 18時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
みっさ - 初コメ失礼します！面白くて優しくて可愛いヒロインちゃんって神では!???何時も楽しく見させていただいてます！ゆっくりでいいので更新がんばってください！ (2023年5月8日 16時) (レス) @page47 id: 0ca1847e23 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - あさん» 頑張ります(〃ω〃)ﾎﾟｯ (2023年5月8日 1時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2023年2月1日 16時
