百六十六話 お姉さんは見た！ ページ21
【目線なし】
やがて───…
Aが去ってから数日が経過して
炭治郎らも蝶屋敷を旅立つこととなった。
「カナヲ、頑張れ！！人は心が原動力だから
心はどこまでも強くなれる！！」
ぎゅっと手を握られながら
至近距離から炭治郎に力強く言われて
カナヲは目を大きく見開く。
「なっ何で表を出せたの？」
にこやかに微笑みかけて
疾風のごとく去ってしまおうとする彼を
とっさに引き留めた。
久しく張ることのなかった声が
震えてしまったのも致し方ない。
その様子に炭治郎は呆気にとられたが、
やがてふっ…と口元を緩める。
「偶然だよ。それに裏が出ても表が出るまで
何度でも投げ続けようと思ってたから」
──ふわっ…
皆に等しく降り注ぐ陽光のような笑みが
彼女の胸の戸を激しく叩く。
炭治郎が去ってもなお、その衝撃は続いた。
初めて抱いた感情を確かめるように
彼から受け取った銅貨を
鼓動とともに胸の中心に抱く。
はっと我に返っておろおろする姿に
とある人物が満面の笑みを浮かべていた。
「もう…うちの子が可愛くて困るわ…っ」
完全に気配を消して隠れていた木の陰から
カナエがひょっこりと顔を覗かせる。
両手で顔を覆うも、熱い吐息が溢れた。
自分で決めることのできない
カナヲを思って指示されてないことは
銅貨を投げて決めるよう教えていた。
いつか、その心が花開くまでは…と。
“カナエさんっ！！
炭ちゃんたちがここを去るときは
ぜひともカナヲちゃんとのお別れを
陰からこっそり見守ってください！
控えめに言って尊いものが見れますよ！！”
蝶屋敷を去る前にAが残した
凄まじい熱量を込めた言葉に納得がいく。
同時に、もっと自分の幸せにも
目を向けてほしいとカナエは感じる。
“煉獄にはあのアホが伝えるっつってたから
そこは任せておこうぜ。
地味に届いてねェガキの好意が
この機に少しでも伝わりゃあ…………あっ”
柱合会議の終わりの方に
音柱がうっかり暴露した発言を思い出し
カナエは両手をぐっと握りしめる。
(お姉さんたちはAちゃんの味方よ。
煉獄くんとのことで困ったときは
なんでも協力するからいつでも頼ってね)
下の子らのこれからを想像して
その未来の眩しさに目を細める。
とりあえず、
カナヲに芽生えた小さな感情を喜んで
この感動を妹と分かち合いたい。
花が舞うような軽い足取りで
カナエは屋内へと歩きだした。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
続く
ラッキーアイテム
さつまいも 煉獄さんに貢ぎましょう！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜紀野ユキ(プロフ) - 桜井直（なお）さん» ありがとうございます(´ω｀*)コツコツ頑張ります (2023年1月29日 12時) (
レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
桜井直（なお）(プロフ) - 亜紀野ユキさん» ヒロイン、可愛い。。作者さんは天才！こんないいお話を！続編待ってます！ (2023年1月29日 10時) (レス) @page50 id: f84b7d123d (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - 綺羅さん» わっしょいなご祝儀ですね(*´∀`)占いコーナーまでご閲覧嬉しいです (2023年1月18日 21時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
亜紀野ユキ(プロフ) - kanayamamoto112さん» こんな子ならストーカー気質でも推せますね(*´ω｀*)ほっこり (2023年1月18日 21時) (レス) id: 737b70383c (このIDを非表示/違反報告)
綺羅(プロフ) - 尊いッ！！見ていて癒やされます、御馳走様です（笑）ご祝儀はサツマイモでも…（笑）そして占いのおはぎに笑いました（笑）一か八かでずんだにして持って行ってみます！← (2023年1月18日 21時) (レス) id: fcc9d08bef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜紀野ユキ
| 作成日時：2022年9月7日 17時
