【鬼滅の刃】人生ハードモードでも貴方の生存ルート追い求めます！肆【煉獄杏寿郎】

百六十五話　仲直り頑張ろう！ ページ20

「あと、これは
　お近づきのしるしです」


「…？」


菓子折りほどの大きさの木箱を渡すと
玄ちゃんはキョトンと目を丸めた。

確かにいつもみんなに配ってるんだけど
残念ながらこれはお菓子じゃない。


「三歳からずっとため込んだ散髪後の私の髪」


「ええっ！？」


それに一歩引いて彼は心底驚いた。

まあ、初対面の女の子に
いきなり大量の髪の毛渡されたら戸惑うわな。

というか、ナニソレ普通に怖っ！


「君の体質は知ってるよ。
　周りがなんと言おうが
　それは玄ちゃんの誇るべき長所だと思う」


どこぞの☆のカービーみたいで
少年マンガの主人公っぽい能力じゃん！

いや…玄ちゃんはむしろ思春期を活かして
ラノベの主人公とかいけそうか…。

食パンくわえた美少女とぶつかって
毎日ラッキースケベに出くわせばいい。


……話が脱線した。

とにかく、玄ちゃんは今から
自分の能力を活かす訓練をしてほしい。


「もしものときや力の検証に役立てて」


平常時でも己の能力を知るのは大切だし
ピンチのときにさっと鬼の回復力を使えれば
何かと助かると思う。

さすがに痛いのは嫌だけど
髪ならいつでも提供できるし。


「なんで…俺にそこまで……」


「もう友達になったから。
　あとね……怖いけどあんなカッコいい
　お兄さんいるの羨ましいもん」


兄弟仲良く…っていう一人っ子のお節介。

そう耳打ちすると、自慢の兄を褒められて
玄ちゃんは嬉しそうに頷いた。


「絶対お兄さんの心の壁をぶち破ろう！」


「お、おうっ！」


拳を突き出すと彼も
遠慮がちに私の拳に自分のものをぶつけた。

待ってろよ、不死川さん！！


「とりあえず私が先手もらって
　あの人に頭突きかますね」


「なんで兄貴を攻撃すんだよ！！？」


わりと本気な私のボケを拾って
玄ちゃんがツッコんだ。

彼もクラスメートにほしい逸材だ。



＊ ＊ ＊



こうして楽しく笑ってるけど
本当はずっと胸が苦しくてつらい……


蝶屋敷で過ごした日々は楽しかった。

炭ちゃんたちの成長を間近で見れたし
女の子たちと仲良くいられて
患者さんのお世話もやりがいあったし……


でもね……ついにきたよ…

─────煉獄杏寿郎さんの死亡フラグ。


己の領分をわきまえて
どう動くか策も練り上げてるんだけど…


“…───俺は俺の責務を全うする！！
　ここにいる者は誰も死なせない！！”


本当に……ただ不安なんです。



＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊


続く

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