【青の祓魔師】貴方に届け【短編集】

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「は!？え、なに!?」

「仕返しです」


服の中に隠していた尻尾が、アマイモンの尻尾に掴まれて、表へと露になる。
アマイモンのような太い尻尾とは違い、Aの尻尾は細かった。


「ふざけんな!なに勝手にっ…!」

「あーん」

「へっ……？い“っぁ…!!」


尻尾に伝う激痛に、Aは信じられないと目を見開いた。
悪魔の急所でもある自分の尻尾を、アマイモンが口の中に入れたのだ。

それだけではない。あの鋭い牙が尻尾に食い込んで、言葉に言い表せないほどの痛みが全身を駆け巡った。


「お、まえ…!自分が何してるかっ、分かって…!？」

「大丈夫です、殺しはしません」

「い、ぁ…!!」


さらに尻尾も引っ張られて、Aは悲痛の叫びをあげる。
そんなAを、アマイモンは冷たい瞳で見下ろした。


「キミを見ていると、いじめたくなります」

「ぅ、あ“…」

「妹だから、ですかね」


痛みに苦しむその顔に、ひどくそそられる。
それと同時に、チクチクと胸が痛んだ。


「ボクをからかったこと、今すぐ謝って下さい」

「っ、ごめ、ん」

「んー、聞こえないなぁ」

「は!?、っぁあ“!」

「謝れ」


一回謝った所で簡単には許してくれないらしい。
急所であるAの尻尾を噛み続けるアマイモンは、鬼畜極まりなかった。


「なんかこの感触、癖になりそうです」

「じぶ、んの…尻尾でっ、やれ!!」

「ボクの尻尾は太い上に、表面がザラザラしていて噛めないですよ」

「っはぁ、あが…!!ぁ、」


そろそろ潮時らしい。Aの意識が朦朧とし始めた。
口からは、だらしなくよだれが垂れている。


「情けない姿ですね。こんな姿を兄上が見たらどう思うかな」

「…っう、あ」

「ボクだけですね。こんなキミも受け入れられるのは」


スルッと掴んでいたAの尻尾を離した。
それとほぼ同時に、巻き付けていた尻尾もAから離す。

すると、支えるものがなくなったため床に倒れそうになったAを、間一髪の所で抱きしめた。


「っうぅ、もう最低…、仲良くなれると思ったのに、」

「…もう仲良くなったじゃないですか」

「こんなので、仲良くなったなんて、いわない…」

「そうですか」

「…う、うぅ…」


今度は泣きだしたAに、アマイモンはギョっとした。
なぜAが泣いたのか、理解できなかったのだ。

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