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「では、行ってくる」
「兄上、お仕事頑張ってください」
「兄様〜行ってらっしゃい〜」
仕事に行くメフィストを見送った後、部屋に響いたのは二人の話し声なんかではなく、ゲーム音と本のページをめくる音だけだった。
Aはアマイモンの後ろで、日本の歴史についての本を読んでいた。
一方、アマイモンはというと、Aに声をかけず1人で黙々とゲームをしていた。
昨日のようにまた誘ってくれるかと心のどこかで期待していたAだったが、やはりそれはもうなかった。
(ゲームをキッカケに仲良くなろうと思ってたのにな。…いや、それは無理か)
昨日の“コイツと仲良くするなんて無理です“と言い放ったアマイモンの言葉が、頭に浮かんだ。
やはり昔に、頭のトンガリを触ってしまった事を、今でも根に持っているのだろうか。
「さっきからコソコソとこっちを見て、なんですか?」
「え?」
画面の中の敵を倒しながら、アマイモンがそう言った。
その言葉の意味を理解できずにいると、敵を倒し、クリアと表示されたテレビ画面から目を離したアマイモンは、顔をAの方へと向けた。
「見ないでください。気が散ります」
「ご、ごめん」
別に見ているつもりはなかったが、こちらを見てそんなハッキリと言われたら謝るしかないではないか。
「……」
謝ったというのに、それでもジーっとこちらを見てくるアマイモンに、やれやれと溜め息をつく。
「分かったよ。どっかいけばいいんでしょ」
そんなに私が嫌なのかと苛立ちを覚えながら、本を持ってアマイモンの前を通りすぎようとした。
すると、何かに足を掴まれて、床に思いっきり倒れる。
「っう!?」
突然のことに対処しきれず、顔が床に衝突し、鼻先に痛みが走る。
涙が出そうになるも、起き上がろうと足に目をやれば、尻尾のようなものが巻き付いていた。
と、いうかこれはアマイモンの…
「別に、向こうに行けなどとは言っていません」
「わっ!?」
今度はアマイモンの尻尾に引きずり込まれたかと思えば、
胡座をかいていたアマイモンの足の間のくぼみに、座らさせられる。
「な、離せ…!ひっ」
その上、アマイモンの太い尻尾が体を巻き付いてきて、全身を縛られたような…嫌な感じがした。
「なにこれ!どーいうつもり?」
「ふれあいです」
「は…?」
「ふれあいです」
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千里 - 一個目誤送信ですすいません(´;ω;`) (2023年2月13日 0時) (レス) id: fb450dd546 (このIDを非表示/違反報告)
千里 - もうずっっっっと前からアマイモンが大好きな人間です。初めてこの作品を読ませていただいた4年ほど前、見事に性癖に刺さってしまい、以降たまに読みかえしては尊さでのたうち回ってます。ほんとうに素敵な作品をこの世に生み出してくれてありがとうございます… (2023年2月13日 0時) (レス) id: fb450dd546 (このIDを非表示/違反報告)
千里 - もうずっっっっと前からアマイモンが大好きな人間です。初めてこの作品を読ませていただいたときに見事に性癖に刺さってしまいずっとたまに読みかえしては尊さでのたうち回ってます。ほんとうに素敵な作品を生み出してくれてありがとうございます… (2023年2月12日 23時) (レス) id: fb450dd546 (このIDを非表示/違反報告)
あっきー(プロフ) - Aの化身さん» 良いですよね!本当に悪魔兄弟大好きです!メフィストのお話も、今後増やしていくつもりですので、お待ちくださいませ! (2019年11月6日 13時) (レス) id: ccccfeeb81 (このIDを非表示/違反報告)
Aの化身(プロフ) - 悪魔兄弟良いですよね〜個人的にはもっとメフィストのお話も読みたいです。更新頑張ってください。 (2019年10月21日 0時) (レス) id: fe6a81f182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あっきー | 作成日時:2019年7月15日 17時