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僕は森の頂上に何もせず唯座っていた
親や村の皆から嫌われてからはずっと此処に居る。
此処の森にはあまり人間が立ち入るような処じゃないから僕にとっては良い場所だった…
───そう……
彼に会うまでは……＿＿＿＿＿＿
陽が登りまた1日が始まる…
そんな事を思っていた。
けど、此処に居れば誰にも会うことはないから其処だけは安心なはず…だったのだけど……
ｻﾞｯｻﾞｯ──
ぴくっ と獣の耳が何か此方に来る音を捕まえてさっきまでの安心さは何処かに消え…恐怖や焦りなどが込み上げる。
『……逃げな、くちゃ……隠れな、くちゃ…捕まる…(ﾎﾞｿｯ』
────ﾎﾟﾌﾝｯ
狼になり草原に逃げ込む
草と草の間からやって来た人間の顔を見るために静かに息を殺して覗く
『(子供？なんで…こんなところに…？)』
疑問でしかなかった。
こんな山に足なんて踏み入れてはいけないと親からにも言われるような山に何故幼そうな少年が？
────ﾊﾟｷｯ!
「……っ？！誰だ！」
ばっ と黒髪に白いTシャツと薄い茶のズボンを着た僕と同じ魔法を感じて彼に歩みよる
近付くと彼の手には筆と紙が握られて地面には絵の具が置いてあり絵を描いていた
警戒する彼に僕も震えながら地に座り尻尾を降りこの場合敵意が無いことを示す
口を閉じ耳を伏せ……警戒心のないことを彼に見せる
『……』
僕が警戒していない事が分かったのか彼は右手の平を此方に差し出す
差し出された手を嗅いで ぺろっ と嘗め
不器用に撫でられるそれが気持ち良くて
眼を閉じていれば彼の心からもいつの間にか
警戒心は無くなって和らいでいきもう片っ方の手に持っていた物を地に置く。
其れから彼は此処に毎日来るようになり
僕は彼が来たときにだけ姿を表しては
じゃれあって彼が絵を描いているのを見ている。
何時しか僕の止まっていた歯車は彼に出逢ったことで再び動きだした
全ての始まりは此処からだった─────
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作者名：黒猫 | 作成日時：2018年10月20日 10時
