大空に舞う白雪第２章 (ページ2)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:14,148 hit

第50話　何でページ2

ラ) 「まだ子猫だし、親いないのかなって・・・。」

貴) 「それでこうやって餌を？」

ラ) 「うっうん・・・こっこのことはGに言わないでほしいんだものね！俺様悪くないのにすぐ怒るし、それに・・・。」

貴) 「それに？」

ラ) 「今追い出したらかわいそう・・・。」

ランポウさんは優しいんですのね・・・

でも・・・

貴) 「ランポウさんの気持ちはよくわかりますわ。・・・でも私もこの子はここにいない方がいいと思います。」

そういうと猫を撫でる頭を止めパッとこちらを振り返った

ラ) 「何で？！追い出したらかわいそうだものね！」

ランポウさんの目には涙が浮かんでいる

貴) 「確かにそうかもしれませんわ。でもここにいてもこの子の為には何にもなりませんわよ？」

　

貴) 「生き物は親から愛情を沢山注いでもらうものです。もし、この子の親がこの子を探していたら親の愛情を知らずに育っていくのですよ？」

貴) 「それにこの子もそろそろ自立を覚えていく時期ですわ。こうやって野良猫であるこの子をここに留めておくと、外の世界にでたとき何もできなくなります。・・・そういう意図があったからGも追い出すように言ったのだと思いますよ？」

私が静かに言うとランポウさんは子猫をギュッと抱きしめた

ラ) 「・・・わかった・・・でも！今日だけ！今日だけならいいでしょ？」

貴) 「ええ。大丈夫ですわ。」

日も沈む時間になり空が茜色に染まった

ラ) 「本当に大丈夫かな？」

貴) 「ええ。この子ならきっと大丈夫。」

ランポウさんは抱いていた腕をそっとほどくと猫に声をかけた

ラ) 「今まで引き止めてごめんだものね。また遊びにきたらいいんだものね。」

返事をするようにニャーと泣くとしっぽをふりながら猫は茂みに隠れていった

貴) 「・・・よく頑張りましたわ。」

じっと別れを惜しみながらも泣くのを我慢していた彼の頭を私は撫でた

親ではないけれど突然別れを告げるのは世話をしていた身にとっても辛いこと

それをわかってくれたみたいで良かった

　

続く