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海を眺めて他愛のない会話をしながら1時間弱、数本の瓶ビールでAは寝てしまった。
『ここんとこ疲れてたみたいだからね。Aのお友達かな?』
ゆうた「そうです、東京の。えっと店長さんですか?」
『雇われのね。オーナーは今さっき酔い潰れて寝ちゃったけど(笑)』
Aの方に目をやると、奥から出てきた、ぱっと見強面の店長は目を細めて柔らかく笑った。
『良いガス抜きになればいいのに、沖縄でも会議続きみたいだからね。
また時間が合えば、こっちでも会ってやって。
君といると、Aはよく笑う。』
ゆうた「…僕も、Aさんといる時間が大切です。」
『若いっていいねえ(笑)』
店長はテーブルに突っ伏して寝ていたAを抱き上げてソファーに寝かせた。
ゆうた「あ、ホテル同じみたいなんでタクシーで一緒に戻ります。」
『よろしく頼むね。あ、これじゃあAの荷物。』
小さなバックを受け取り、ゆうたは肩にかけた。
ゆうたはAを抱き上げると、想像以上の軽さに驚いた。
身長は152センチほど。この小さな身体で、今や大企業となったIT会社の『Good Day』を背負う社長だ。
ひゅうがの通う東京郊外のカフェ『Good Life』
ゆうたの通う吉祥寺の外れの古着屋『Good Pass』
沖縄のカフェ『Good Time』を経営。
安定した不動産投資も続けている。
どれほどの才能があっても、これほどの功績を残すのは相当の努力が必要だった。
ゆうた「…まだ、なーんも知らねえなあ。」
ゆうたもまた、他のメンバーと同様にAのことをまだ何も知らなかった。
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作者名:aki | 作成日時:2022年3月24日 20時