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院内学級 ページ3

涼介サイド


―――――りょ……け……りょす……けぇ



ずっと遠くの方から、声が聞こえる。



なぜか、胸を誰かにつかまれたような感覚がした。



ゆ……ぅり?



ずっと一緒にいる相棒の顔が、脳裏をよぎる。


――――――――死な……なぃ……でよぉ


こんなすぐに死ぬわけには、いかねぇ……よな。



なあ、侑李。



泣きながら、目が覚めた。



侑李「りょおすけぇ!!」


侑李が俺に飛びついてくる。


涼介「ゆ、うり。もお、だい……じょぶ……だよ」


頭を撫でてやろうと左手を伸ばすと、激痛が走った。


えっ……?



左手を見ると、包帯が巻かれているのがわかった。



なんで?




侑李「先生、呼ぶね。」



侑李が、ナースコールを押した。


少しすると、伊野尾先生の声が聞こえてくる。


伊野尾先生「おぅ、涼介起きた? おはよー!ちょっと待っててなー。今ダッシュでそっち向かうからな」


侑李「りょーすけ」


涼介「どしたさ?」


侑李「こわ……かった」


侑李の目には大粒の涙がたまっている。



侑李「りょおすけさ、僕の前で、急に、倒れて、名前呼んでもさ、返事、しなくて……」


涙を次々とこぼしながら一生懸命話す侑李の手を握ってやる。


左手はやっぱり痛かったけど、そんなことは気にならなかった。


涼介「ごめんね、侑李。でも俺ね、死なないよ? 約束、したもんね」


侑李はコクッと頷いた。



俺たちの約束。



それは、急性転化期になるまで死なないこと。



限界(死ぬ)までは、一生懸命、必死に生きること。

コンコンと、ドアをノックする音がした。


返事をするよりも早く、ドアが開く。



伊野尾先生「よっ! 調子どうだ?」



今の俺たちとは全く違う先生のテンションの高さが、俺たちの微妙な空気を変えてくれた。



涼介「ふつーかな」


伊野尾先生「そっかぁ、普通か。なんで倒れたか覚えてる?」


涼介「わかんない」


伊野尾先生「頭くらくらしない? 貧血だよ。それと、左手痛いでしょ? 折れてはないから、倒れたときに手首捻ったんじゃないかって」


涼介「そっか」


貧血は白血病の症状だから、結構慣れていた。


左手はハプニングだったけど。



それよりも何か大事なものがあった気がする。


涼介「あっ……院内学級……」


侑李「バカ……行ける訳ないでしょ?」


涼介「……侑李、ごめ……」


俺の言葉を遮るように、ドアが開いた。



そこに立っていたのは――――

院内学級→←院内学級



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作者名:J | 作成日時:2020年3月15日 20時

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