十二 ページ13
藤堂side
今日は巡察が何事もなく早めに終わったから
新ぱっつぁんと左之さんと一緒に町に出ることにした
「それにしてもAちゃんが女の子だったとはなあ…」
新ぱっつぁんはずっとこんな感じだ
『新ぱっつぁんそれ何度目だよ。あれから一月くらい経ってるんだぜ?いい加減しつこいよ。』
「そうだぞ新八。いい加減気持ち悪いぞ?」
「なっ!気持ち悪いとは酷ぇな!」
『新ぱっつぁんはもっと自覚した方がいいと思うぜ。』
本当新ぱっつぁんは女の子に弱いな
確かに俺だって彼奴が女だなんて驚いたけど
「そうだ!Aちゃんに土産買ってこうぜ!」
「おっ!新八にしてはいい案じゃねえか!」
「俺にしてはってどういう事だよ!」
『そのまんまだろ。買うにしても何買うんだ??
「そうだなぁ…やっぱ女の子だし髪飾りととかか?
「いやいや新八。Aがそんなのつけると思うか?男装してんのに。」
「あっ…………」
『そういや彼奴なんで男装なんかしてんだろうな。理由があったとしても、俺らにはバレてるんだからわざわざしなくてもいいのによ。』
「理由、ねぇ…」
「Aちゃんの女物の着物姿か…可愛いんだろうな。」
『彼奴美形だからすっげぇ綺麗なんだろうな!』
「着てくれるとは思えねぇけどな……」
「やっぱそうだよなぁ……」
新ぱっつぁんが明らかにガッカリしたようにうなだれる
『とりあえず土産何にすんだ?』
「あーどうするか…」
しばらくいろんな店を見て回ったけど
最終的に饅頭になった
「Aちゃん喜んでくれるかなぁ…」
「難しいだろ…Aにそういうの求めちゃ駄目だろ。」
不意に俺は思った
『Aが笑ったとこ見てみてえな…』
彼奴が笑ったとこは見たことねぇ
「ここに来て一月経つけど未だにあんな感じだからなぁ…」
Aは俺らと一緒にいることなんて無い
しいて言えば飯の時と巡察の時くらいだ
後は道場や中庭で素振りをしていたり
部屋にこもっていたり
俺らと完全に関わるつもりはないらしい
俺が話しかけても避けるし
左之さんや新ぱっつぁんもそんな感じらしい
「Aちゃんがなんか抱え込んでんのはわかるんだけどなぁ…」
Aはいつも思いつめたような顔をしている
俺らに関わらないようにしてるのも何かあんだと思う
「少しは楽にしてやりてえんだがな…でも聞ける感じでもねえし…」
「あいつが心を開いてくれるまで待つしかないか…」
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作者名:tear | 作成日時:2017年8月27日 21時