肆拾玖 ページ6
Aside
茨「では、Aとはその頃からの知り合いなんですね。」
A「いや、違いますよ先輩。」
まあ普通そう思うわな。
茨/彩「「は？」」
弓乃「私は、Aさんがいないときの代わりだったそうです。」
A「代わりの方が時間長いってのは笑えるけど。」
弓乃「ふふっ、確かにそうですね。では話を戻しますね。ゴッドファーザーの邸宅と、姫宮では、過ごし方が違いすぎました。ゴッドファーザーの邸宅の方が、心は自由でしたよ。隠し子は、私を、妹のように可愛がってくださいましたし。」
懐かしそうに目を細める弓乃ちゃん。
空「それってAも？」
A「え？あ、うん？ そうなんじゃない？」
奏「相変わらず家族関係疎いね、Aは」
といわれても困るんだがな。
弓乃「徐々に、疑問に思うようになりました。姫宮の使用人としての生き方は、正しいのかと。自らの使える主は、自分で決められないのかと。」
A「で、母さんはこう答えたんでしょ。『例え姫宮の使用人としては間違えだったとしても、ひとりの人間として、そう思うのは間違いじゃない。自分の心のままに生きなさい』って」
弓乃「！ なぜ、それを....」
A「話だけは、聞いてたからね。養子にしたいとかも言ってたから。」
茨「ふむ。弓乃は、ゴッドファーザーが亡き後、その有意義な時間が消えて退屈していた、というより姫宮の御曹司や令嬢に振り回されて疲れたんですね。」
弓乃「まあ、結論からいえばそうなります。」
だろうな。
空「それで、その事を親に言ったら追い出された、と。親としてどうなのよ。」
奏「いや、そもそも軍事施設にいた時点でツッコミいれようよ。」
てか、この面々の親って、親としていかがなものかと思う人多くないか？
A「まともな親って少ないもんね。で、あくまで推測に過ぎないけど、弓乃ちゃんに、使用人としての生き方を疑問に思わせたのは、わざとの可能性がある。」
彩「わざとって、陰湿ですね。」
A「亡くなったばかりの頃ならいざ知らず、私も、ゴッドマザーの娘名義で引き継いだものもあるし、母さんが、徐々に私に伝えてる情報もあるからね。用意周到過ぎで怖いくらいだけど」
弓乃「まさか、取り上げるのではなく、借りるという形にしたのは...」
茨「自ら家を出てもらい、円満に養子にするため、ですか。」
話のわかる人たちで助かるよ。ほんとに。
A「おそらく、はね。」
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作者名：綾 | 作成日時：2020年8月24日 11時
