ライバルアピアー！ ページ12
学内めぐりや風紀についての学習を午前中に行い、とうとう試験が始まる午後に。
今日行われるのは魔力量のランク付けのみ。明日には実技の採点や希望制の実戦がある。
どうやらこの試験によって習熟度別のクラスや入れる部活のスカウトがあったりなかったりするのだとか。
そのため上級生や他の教師たち、なんなら外部の偉い人たちも見物に来ており、ある種お祭り行事みたくなるらしい。
試験自体が入学式と同じホールで行われるし、俺が端の方で隠れるというのは難しそう。
…ちなみに。上記の内容は昨日寮に帰ったら置いてあった神様からの手紙から得た。
現在はホールへ移動する集団の後ろを静かに歩いている。気配消しを使うのも良かったのだが、変にサボりと言われるのは避けたかったため、嫌々そのままの状態だ。
rb「あの〜」
「は、はい」
集団からなんらかの魔法でスルスルと抜けてきたロボロが顔を覗いてきた。なんで来たのだと疑問を感じてすぐ、あっこの人とも戦うんだったなと思い出す。
rb「改めましてロボロって言います。今日から2日間、よろしくな」
「あっえと、俺は」
律儀な挨拶に俺も対応しようとした矢先。ロボロより前方から悲鳴にも近い声が響いた。
「ロボロ様、その方に近づいてはなりません！」
ロボロが集団から抜けたことに気づいた令嬢たちが慌ててこちらにきた。なんだこの人たち…親衛隊とか？
「呪われたゼペルの家系…この方と目を合わしたら不幸が降りかかると言われてるのですよ！」
「汚らわしい貴族の恥が…」
他にもコソコソと言われもないことをチクチク言われる。こういうのってどこの世界でも変わらないのかと呆れ半分、面倒とも感じてしまう。
「そんなにいうなら斜め下に向けてる目線をあなた方に合わせますけど…よろしいですか?」
今度はちゃんとした悲鳴をあげ、ロボロを連れて令嬢たちはそそくさとホールへ向かってしまった。これからもこういう事があるのかと思えば、つくづく闇を抱える系の悪役というのは災難ばかりなのだなと同情してしまう。
(そういや、普通に交流してきたな)
てっきりゼペルと戦うがやばそうだし話しかけないでおこう、的なものを想像していたのだが。
思っていた関係性と違い少し不思議な感じがする。
「…とりあえず早く行こう」
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作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月14日 11時
