・ ページ6
なんてこと。まさか初期攻略対象の1人、賢者と呼ばれるすごい人の御子息、エーミールとぶつかってしまうなんて。
(……いやこの展開冒頭に主人公が経験するやつでは)
確かこうだったはず。
ー
『あっ、そろそろ戻らないと先生に気づかれちゃっ…うわ！？』
em「おっと、申し訳ありません。お怪我はないですか？特待生さん」
ー
どんな人がいるか気になった主人公が、こっそり特待生専用の控室を抜け出してクラス表の方にやって来る。
あのイケメン集団がキャーキャー言われていることに対して、なんで叫んでるのか疑問を呟く。そのあと部屋に戻ろうとするとエーミールに遭遇、と手紙は書いてあった。
そして彼と会話をし、ここについてプレイヤーが学ぶみたいな展開のはず。
でも俺がいる所ってストーリーの場所とは違う所だし…なんでここにいるんだこの人。
いや、しかしどこか違和感がある。気づかれない程度に探ればすぐピンときた。
(目の色が違う)
手紙に載ってた時と瞳の色が違うのだ。魔法で隠している設定があったし、もしやオッドアイが魔法を無効化しているのだろうか？
em「あの…」
「え、と自分は大丈夫です。こちらこそ失礼しました。ゼペルの家のバケモンみたいなやつに当たったとかで、迷惑をかけてしまったらごめんなさい」
キャラっぽいことを言ってみると、エーミールは慌てたような反応をする。
em「いえ！バケモノだなんて！……家の立場上、あまり大きい声では言えませんけれど」
全く、それどころかお綺麗ですよ。エーミールはそう言って微笑んだ。
嘘とは思えない言い方、こういう人を世は聖人と呼ぶのだろう。つい嬉しくなってしまい、俺もエーミールに伝え返す。
「ありがとう、ございます。…俺…あ、ええと自分もエーミール様の瞳、神秘的で美しいと思いますよ」
屋敷の人たちとの会話で培った表情筋をフル活用して笑った。硬い方だけど少しは口角上がってるだろ?頼む。
エーミールは目を見開いたあと、一気に顔を紅くした。なんなら涙目になりかけて。あ、もうめちゃくちゃコンプレックスだったのね貴方。
何か反応をしようかと思ったところで、どこからか鐘の音が聞こえてきた。
「これは？」
em「あっえと、これは予鈴です。よければ教室までご案内します」
そりゃありがたい。というわけで案内してもらうことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 810人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんべべ | 作成日時：2021年9月14日 11時
