42話 勘違いなんかじゃない ページ43
練習試合後の帰り道、幸ちゃんと2人並んで歩いていた。
2人だけで帰るのは久しぶりかもしれない。
何時も、皆で帰っていたから。とても楽しいけどね!
『今日は疲れたねー』
「そうだな」
『明日は練習午後からだから、ゆっくり寝れるね』
「ゆっくり寝れるからって、腹出して寝るんじゃねえぞ」
『お腹出して寝るの幸ちゃんでしょ!』
「この間お前の家行った時、ソファーで腹出して寝てたぞ」
『寝てないよ!目を瞑ってただけ!』
「寝てる奴は大抵そう言うんだよ」
そんなくだらない話をしながら、ゆっくりと歩いて行きます。
至近距離で、幸ちゃんの横顔を見れるこの場所は特等席だね!
幸ちゃんの顔を見て、にへらぁと顔が緩んでしまう。
「何気持ち悪い顔してんだよ」
『幸ちゃんカッコいいな〜って思って!』
「はあ...またかよ。本当お前って物好きだよな」
『物好きなんかじゃないよー幸ちゃん結構モテてること知ってるんだからね!ライバルが多いって辛いよ...』
「...なあA」
幸ちゃんは私の名前を呼ぶ。
顔を見ると、その表情は真剣といったものだった。
私は思わず立ち止まり、幸ちゃんに向き合う。
「お前の俺に対する好意は勘違いだ」
『...』
「お前の好きは、恋愛対象としてじゃなくて、幼馴染として好きなだけだ」
言葉を続ける幸ちゃん。
「あん時、俺が余計な事しなけりゃ、お前にこんな思いさせてないのに...」
『そんなことないよ。勘違いなんかじゃないよ。私は幸ちゃんの事、今も昔も変わらず大好きだよ?』
私が幸ちゃんの目を見てそう言うと、幸ちゃんは顔をすぐに逸らした。
少しだけ耳が赤いです。
『幸ちゃーん。耳赤いよ?』
「Aのくせに生意気なんだよ。さっさと帰んぞ!」
ガシッと私の腕を掴み、ずんずんと歩いていく幸ちゃん。
少し早足のせいか、たまにコケそうになります。
『幸ちゃん速いよ〜!』
すると幸ちゃんは、途端にスピードを緩めて、顔だけこちらに向ける。
腕は掴まれたままだ。
「...肉じゃが食いたい」
『...スーパーに材料買いに行こっか!荷物は幸ちゃんが持ってね!』
腕は離され、幸ちゃんは私の隣に来て、行くぞと言い歩き出す。
今日は、鮭が安かったから、焼き鮭にしようと思ってたけど、肉じゃがかー
美味しいって言ってもらえるように、頑張って作らないとね。
スーパーへと向かって行く私達を夕日は眺めていた。
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笠松もみじ(プロフ) - ハチ公のままさん» 面白いと言っていただきありがとうございます!そしてわざわざ間違っている所を教えてくださってありがとうございました!射手座と勘違いをしておりました...すぐに訂正させていただきます! (2017年12月30日 11時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公のまま(プロフ) - 話がとても面白いです!しかし、11月は山羊座ではないです… (2017年12月30日 10時) (レス) id: 76036e92ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年9月30日 23時