11話 お父さんみたい ページ11
とりあえず真っ赤になってしまった顔を、どうにかして戻した私は、急いで着替えて部室の鍵を返してから校門前で笠松先輩を待っていた。待っている間、撫でられた頭を少しだけ触る度に顔が緩んでしまうのは、ちょっと危ない人だなと思ってしまったけれど、許してほしい。
数分待っていると、こちらへ向かって歩いてくる集団を見つけた。
「A帰るぞ」
『はい!先輩方、それに黄瀬くんも一緒ですか?』
「俺たちも一緒に帰っていいかな?」
『勿論ですよ!』
こんな風に大人数で帰るのは初めてなのでなんだかワクワクとしてしまう。中学の時は部活にも入っていなかったので、このような光景は少しだけ憧れがあった。
「あ(れ)!先輩方、今か(ら)帰(る)んすか!お(れ)たちも一緒に帰っていいすか!!!」
「早川うるさい。すみません先輩」
「おう、いいぜ」
「あ(り)がとうございます!お、Aも一緒か!」
『はい!』
「一緒に帰るのはいいが、うるさくなりそうだな…疲れるぜ」
「まあいいじゃん。賑やかでさ」
私は黄瀬くんと森山先輩に挟まれて歩いてる。本音を言えば笠松先輩の隣を歩きたかったけど…でも、二人とお話しするのはとても楽しい。
森山先輩は、何故か私のことを褒めてくる。お世辞でも、可愛いとか言われると少々照れてします。あと凄くお茶に誘ってくるし、運命という言葉をよく使ってくる。笠松先輩はその様子を後ろから見ながら、無視しとけなどと声を掛けてくる。
「笠松!邪魔をしないでくれ!俺はAちゃんといずれ恋人になるんだ!」
「誰がお前なんかと付き合わせるか!」
「なんだ!嫉妬か!?」
「んなワケねえだろ!コイツが誰と付き合おうと構わねえがお前だけはぜってー駄目だ!」
「笠松...俺にAちゃんを取られそうだからって嫉妬は見苦しいぞ...」
プチッと何かが切れる音が聞こえる。
笠松先輩は森山先輩に向かってエナメルを投げ飛ばした。
「ちょ、笠松!この位置だとAちゃんにも当たる…っていない!?グハッ!」
投げたエナメルは見事森山先輩の顔に命中した。とても痛そう...
『森山先輩大丈夫ですか?笠松先輩!バック投げたりしたらダメですよ!』
「るせーてかお前わざと避けてたろ」
『だって当たりそうだったので』
森山先輩は顔を手で抑えながら、「え...何が起こったの...?」と呟いていた。
「なんかさっきの笠松先輩お父さんみたいだったっす!」
「早川、色々と面倒臭くなるから喋るな」
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笠松もみじ(プロフ) - ハチ公のままさん» 面白いと言っていただきありがとうございます!そしてわざわざ間違っている所を教えてくださってありがとうございました!射手座と勘違いをしておりました...すぐに訂正させていただきます! (2017年12月30日 11時) (レス) id: a42261d885 (このIDを非表示/違反報告)
ハチ公のまま(プロフ) - 話がとても面白いです!しかし、11月は山羊座ではないです… (2017年12月30日 10時) (レス) id: 76036e92ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴよ子 | 作成日時:2017年9月30日 23時