検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,988 hit

雪がお好きな貴方には ページ4

貴方side



時は雪の大きさが荒めになる、12月中旬。


「っはぁ〜、寒いですね。こんな日はこたつでみかんを食べるのが良いです」



ボサバサ降る雪が屋上を白に染めて行く。厚い雲で太陽が見えないため、積もる一方だ。


「……こたつ、か。良いものかい、それは」


「え、赤司さん知らないの!?凄く温まって、ぬくぬくするのです。」


ふふっ、と手袋で覆われた手を口元にやって笑う。


「……かなり積もって来ましたね、こんなに積もっているなら、雪だるまが作れます。」


作ってみます?、と聞くとまた今度、とはにかんだ。そんな彼の表情に、キュンとしたのは内緒です。





「冬って、私好きなんです」


「へぇ、なんで」


「冬が好きっていうより、雪がすきなのかな。しんしんと、静かに、儚く降るのが好き。寂しい感じが好き。……けど、」



「なんでかな、雪を見ると、怖いんです。私も、こんな風にいつかは冷たい心を持ってしまうんじゃないかって、怖くて怖くて、怖くて。」


ふぅっ、と息を吐いてみる。
相変わらず、白い、白い息だった。



「……そう」


なんとも言えない声音で、赤司さんは呟いた。
一人ごととも思えるような、小さな小さな声で、言ったのだった。


しばらくの沈黙の後、静かに彼は抱きついてきた。

当然、男に免疫がない私は、どうしたら良いかとあたふたした。
それでも振りほどけなかったのは、


彼が、とてもとても小さく見えたから。


「……ねぇ、A」


「なんですか」


「びっくりした?」


「ええ、しましたよ」


「なんで振りほどかないの?」


「………気まぐれですよ」




………私はまた、気持ちを隠し、嘘をついた。


雪がお好きな貴方には→←雪が綺麗な理由なんて



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白井由紀 | 作成日時:2017年12月23日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。