第1話。 ページ8
何やってんだよ、俺…
俺が彼女を泣かせてどうすんだよ。
「蓮?あんた何してんの?」
俺が机の上で頭を抱えていると、目の前に沢山の本を抱えたあやかが立っていた。
「お前こそ、なんでここにいんの?」
どう見てもお前、本とか読むタイプじゃねぇだろ。
「ジャンケンに負けてクラスの本を片付ける係になったんだよ」
「夏休みに?」
「マジありえないよね!ホントは夏休み前にやる予定だったんだけど、色々忙しくて今日まで先延ばしになったのよ」
忙しいって、それ全部遊んでただけだろ。
「ふーん、お前なら図書委員の渡辺さんに押し付けそうなのに。」
「うっさいわね、そーゆーのもうやめたの。」
あやかはそう言うと、本の番号を確認し黙々と片付け始めた。
あやかのやつ…結構変わったな。
「てか、私の質問にもちゃんと答えなさいよ。」
「あ?あぁ、俺は別に…」
「別にってあんた、絶対なんかあったでしょ」
「なんもねぇよ」
「じゃあ…なんでさっき渡辺さん、泣きながら図書室出てったの?」
こいつ…見てたのかよ。
「ちょっと揉めただけ」
「あっそ。あんたがそう言うんなら別にいいけど、相談くらいは私ものってあげられるからね」
本当にこいつ、あのあやかか?
なんか別人みてーだな。
「あ、やっべ…もう9時前じゃん!俺、もう行くわ」
「そ、じゃあ頑張ってね」
「おう!サンキューな。」
俺は最後にあやかにお礼だけ言ってグラウンドへ早足で向かった。
「なにお前、それで渡辺さんを押し倒したの?」
俺はアップをしながらタクミにさっきあったことを全部話した。
「しょうがねぇだろ、気がついたらそうなってたんだよ!」
「気がついたらって、お前なぁ…」
タクミは呆れたようにため息をつき、俺にパスを出した。
「お前って、そんなに余裕ないやつだったっけ?」
「自分でもわかんねぇんだっつーの。渡辺さん相手だと余裕が無くなるっつーか、とりあえず頭より先に体が動くんだよ」
「そんなことよりお前さ、わかってる?」
「あ?何がだよ」
「このままだとお前、花火大会1人だぞ?」
あ、すっかり忘れてた。
「それが嫌なら花火大会までにちゃんと謝って仲直りしとけよな」
タクミはそう言うと鼻でフンと笑った。
「うっせ!それがなくても直ぐに会いに行くっつーの」
渡辺さんのあの怯えた目。
震える唇。
大きな目に溜まる涙。
はぁ…最悪だ俺。
とりあえず、部活終わったら真っ先に謝りに行くしかないな。
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クロ - 久しぶりです! 少し来れてなくて....更新してくれて嬉しいです感激で語彙力が (2019年8月18日 13時) (レス) id: df4019f8a8 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - えだまめさん» わぁ、えだまめさんお久しぶりです!!part2までどうもありがとうございます!!part3でも元気をもらえたら嬉しいです!またお待ちしてます! (2019年6月4日 4時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 二度目のコメント失礼致します…!お忙しい中part2更新お疲れ様でした!ドキドキの展開で完結まで楽しみです!part3も楽しみにしております! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 83643b9572 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - 夜道さん» 夜道さん、コメントありがとうございます!part3はお兄ちゃんたちのことをメインで書いていこうと思うので最後まで見守っていただけると嬉しいです! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
まりあ(プロフ) - リリム@MEIKO廃さん» リリム様、コメントありがとうございます!すごく嬉しいお言葉感謝します!part3でまたお会い出来ることを楽しみにしています! (2019年6月4日 3時) (レス) id: 3c107f3e51 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりあ | 作成日時:2018年8月15日 23時