12話 ページ13
｢ハァ……ハァ……あﾞ〜！いってぇ！｣
陽がほとんど沈んだ頃、流石に限界だと身体が訴えてきたので、その要望のままに銃を投げ出して草原に大の字に倒れ込んだ。
珍しく長い時間集中していたと、自分を褒めてあげたい気分だ。
もう起き上がる事すら億劫で、このまま寝てしまいたい。
目を閉じて細く長く息を吐いていると、｢何だ、もう終わりか｣と上から声が降ってきた。
｢もう終わりって、かなりやってたと思うけど。次元こそ何？痛いの耐えてる姿笑いにきたの？｣
｢な訳ねぇだろ。いや、それもあるかもしれねぇが、おめぇの待ちに待った飯だ。早く起きろ。あと仕事の話がある｣
のそのそと起き上がり、頭を掻きながら歩き出す。
正直ご飯の時くらいはご飯に集中させて欲しいが、盗みについていけるのは嬉しいので良いとしよう。
｢今日のご飯何？｣
｢グラタンだ。お前が食いたいって煩かったからな、感謝しろよ｣
｢本当！？ありがとう父さん！｣
｢ケッ、こういう時だけ調子良くしやがって｣
本人に言った事は無いが、グラタンは次元が私を拾ってくれた時に作ってくれたものだから、特別大好きなのだ。
嬉しくて小さく笑っていると、左肩に思い切り手刀を食らわされた。
お察しの通り、私は奇声を発してくずおれる。
｢ハッハ！これぁいい！｣
｢何で！？何で急に殴るの！？痛いの知ってるよね！？｣
大口を開けて笑う次元を涙目で睨むと、まだ少し笑いの含んだ声で｢悪かった｣と頭を撫でられた。
リビングに戻るとルパンが既に夕ご飯を食べ始めていたので、慌てて席に座りグラタンを山盛り自分の皿によそった。
｢でA、今回の作戦なんだけどよ｣
グラタンを飲み込んでから、ルパンは思い出した様に言い始めた。
｢今回狙ってんのは、ある有名な作曲家が残した幻の楽譜なんだけど｣
｢なんだ、ならいらない｣
｢そう言うなって。たまには金銀財宝以外も欲しいだろ｣
ルパンはそう言うが、私はそう思わない。
一目見て価値のあるものが一番良い。
楽譜なんて、私にとってはただの紙切れでしかないのだ。
｢話戻すけど、楽譜はこの街の美術館に展示されてる。Aは1km先にある時計塔から、そこの警備員2人を狙撃してくれ｣
｢へ？撃っちゃうの？｣
｢勘違いすんなよ。麻酔銃だ｣
勘違いも何も、狙撃しているのだから吹き飛ぶ未来しか見えない。
だが言うのが面倒なので、首を縦に振っておいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 72人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遊星(プロフ) - 新門アカツキさん» 分かりました。お節介かもしれませんが宜しくお願いします。 (2020年3月25日 17時) (
レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
新門アカツキ(プロフ) - ななしさん» ななしさんコメントありがとうございます！忙しかったり筆が進まなかったりと言った事が重なり、更新が遅くなってしまいました。これから更新していこうと思っているので、気を長くして待って頂けると嬉しいです！ (2020年3月25日 13時) (レス) id: d9194b6661 (このIDを非表示/違反報告)
新門アカツキ(プロフ) - 遊星さん» 遊星さんコメントありがとうございます！勢いだけで書き始めたので、急に筆が止まってしまい...(笑)これから少しずつ更新していこうと思っていますので、気長に待って頂けると嬉しいです！ (2020年3月25日 13時) (レス) id: d9194b6661 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 面白いです！停止ですか.......? (2020年3月23日 1時) (レス) id: 8ef6779e59 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2020年3月8日 22時) (レス) id: cc3dcebb37 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：新門アカツキ | 作者ホームページ：http:/uranai.nosv.org/u.php/hp/yukanovel01/kirakoi
作成日時：2019年12月8日 13時
