51*あのとき ページ13
「……分かるよ。君の繊細さも、優しさも。ほんとうは、強い人だってことも」
「…分かってない」
「分かってる」
「分かってない!!」
____落ち着け、私。落ち着け。
「分かんないでしょう!?元彼に散々酷いことされて、その上殺されかけて、それがどんなに私を汚したかなんて、先生には…!」
お願い、ねえなんで、止まらないの。
「___っ、別れたいって言ったら学校でも嫌がらせ、…結局、クラスでもいじめられるようになって」
心配も迷惑も、もう、かけたくないのに。
「親もお兄ちゃんも、担任の…先生も、誰も助けてくれなくて…!」
「怖くて学校どころか、外にも出られなくなった私の気持ちなんか……絶対、絶対、先生には分かんないのに、っ」
____ああ、言っちゃった。
先生にも大体、予想はついていただろうけど。
それでも、
こんなにボロボロで汚い自分なんて、はっきりとは見せたくなかったのにな。
(それに、先生のことも傷つけて…私は)
「……これでどうやって、自分の価値に気づけって言うんですか……」
____ぎゅっと目を閉じて、
せめて先生が幻滅して、早く出ていってくれることを祈った。
*
だけど、しばらくすると、
私の頬に雫が、落ちてきて。
(…え?)
____目を開けたら先生が、
涙をいっぱい溜めた瞳で、私を見つめていた。
まばたきをする度に雫が落ちては、私の頬を濡らしていく。
「ねえ、………ど、したら、この気持ちが伝わるのかなあっ……?」
聞こえた声は、可哀想なほど揺れていて。
「せんせい…?
っ、泣かないで、なんで泣いてるんですか、」
____答えないで彼はまた、私にキスをした。
角度を変えては、なんども、なんども。
伝わりきらない感情を、全て流し込んでくるみたいに。
…こんな私を、知ってまで、なんで。
*
学校のチャイムが鳴り響いて、授業開始を告げた。
この時間、先生は、うちのクラスで古典の授業があるのに。
「大丈夫」、そう何度繰り返しても、
先生は私を、無機質な白いベッドに、押し倒したまま。
何度も、何度も、馬鹿みたいに、呆れるくらいに、キスを落とした。
過去を話した私よりもぼろぼろに泣きながら、
ずっとずっと、苦しそうな顔をしながら。
「………辛かったよね、苦しかったね、」
"____僕がそのとき、"
"君の先生ならよかったのに。"
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あきおと(プロフ) - 桜木さん» 急かされてるなんて全然です!たのしみにしてくださるとモチベが上がります爆上げです笑 とりあえず100話完結の予定になったので、本当に100話で終わるか見守っててください笑 (2018年2月22日 15時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わわわ超まで付いてる…めっちゃ嬉しいです;▽;愛を叫ぶ桜木です(あきおとさんの作品の歌詞さんは本当に好みで作品自体もホントに好きなので……。ホワイトデーも楽しみに待ってます!急かしてたらごめんなさい;あきおとさんのペースで書き続けてくれたら嬉しいです! (2018年2月20日 11時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» 超覚えました!!いつも愛を叫んでくださるので!!(褒めてます) ホワイトデー早く描きたいなあ…間に合わなかったとしても番外とかで絶対ホワイトデーしますので、その時は是非!笑 (2018年2月20日 1時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
桜木(プロフ) - あきおとさん» わぁぁぁあきおとさん!覚えて頂いて光栄です…!!!( ;∀;)ホワイトデーも楽しみです…!歌詞先生いじわるになっちゃうんですかね〜〜!!今からとっても楽しみにしてます……! (2018年2月19日 7時) (レス) id: 69ddd43526 (このIDを非表示/違反報告)
あきおと(プロフ) - 桜木さん» ぁぁぁぁあ!桜木さん、お久しぶりです!(笑) たぶんホワイトデーは、夢主が超接近戦でからかい倒されます() (2018年2月18日 22時) (レス) id: 591088b3ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あきおと | 作成日時:2017年8月19日 13時