66話 ページ20
乱歩side
彼女と初めて会ったのは四年前の雨の日だった。
『あの、砂色の、コートをきた人を、、見ませんでしたか?』
僕の目の前に現れた彼女は、無機質な声で僕に問いかけた。
土砂降りの雨の中、傘もささずに走ったようで、黒いコートは水に濡れていた。
よく見ると、頬や手足に切り傷ができていた。
どこからか逃げ出してきたのか、と察するのに時間は掛からなかった。
『その反応、何か知ってるんですよね、お願いです、なんでもします、あの人がどこにいるか教えてください。』
僕のシャツを掴んで急かすように歩み寄り、僕とぶつかった男性のことを聞いてきた。
あぁ、この子もポートマフィアの人間か、、
「いいけど、、彼はもうこの世には『うるさいッ!はやく教えて!!』
さっきの無機質な声からは想像できないような、誰かを大切に思うような、幼い少女が駄々を捏ねるような声だった。
「はぁ、、君が探してる人はあっちだよ」
僕は、彼が向かった方向と別の方向を指差した。
彼女は、僕に目もくれずに走り出した。
なぜ僕は嘘を言ったのか、自分でも分からない。
ただ彼女の今にも泣き出しそうな瞳が僕の頭にこびりついて離れない。
もしかした、僕は彼女の傷ついた顔が見たくなかったのかもしれない。
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akaringo(プロフ) - 真夜さん» コメントありがとうございます!!大好きな作品なんて光栄です!! (5月8日 0時) (レス) id: 4f382ebc4e (このIDを非表示/違反報告)
真夜 - 最後の『О, как я счастлив.』の意味を調べて一人で喜んでました。大好きな作品です。完結おめでとうごさいます。 (5月7日 18時) (レス) @page28 id: b9cec51391 (このIDを非表示/違反報告)
るみ(プロフ) - ああああああああああああ好きです好きです好きです好きです好きです!!!!!!!!!最高すぎます!!!!!主様ありがとう!!!!!!! (4月16日 18時) (レス) @page24 id: 0417e46c9c (このIDを非表示/違反報告)
akaringo(プロフ) - リムル=テンペストさん» コメントありがとうございます!こちらこそこの作品を読んでいただきありがとうございました!☺️ (4月13日 16時) (レス) id: 4f382ebc4e (このIDを非表示/違反報告)
リムル=テンペスト - 一気読みしました最高でした 書いていただき有難う御座いました (4月13日 16時) (レス) @page29 id: 93fa3720ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:akaringo | 作成日時:2023年10月22日 16時