34個目 side白雪 ページ36
「お嬢さんも稽古の時も思ったけど、そういう格好もいいよね」
「ですね。凄くお綺麗です」
少し自分の考えに浸っていたら2人にそんな事を言われ、顔が赤くなってしまった。
「そ…そう…?」
私の言動を不思議に思ったのかオビの頬にたらりと一筋の汗が流れる。
「…アレ、主ってお嬢さんにかわいいとか言ったりしないのかい?」
「!?言わない…」
そんな事言われた事ないし、考えたことも無かった…
私が窓の外に目を向けると、もう御者さんが馬車の準備に取り掛かっていた。
「御者さんがもう馬車出してる」
「あ、本当ですね」
「下おりよう」
そう言って私は下に降りようと部屋から出ようとした。
「ーお嬢さん」
「ん?」
オビに呼び止められ後ろを向くと私に着いてきていたAもオビの方を向いていた。
「………あー…今日 俺の馬に乗ってく?」
「王都まで?」
二人分の視線を受けながらオビの言った言葉はこんな事だった。私はその申し出を丁寧に断り、馬車に乗り込んだ。
馬車に乗ってしばらく経つと王都に着いたとオビから声がかかる。私は窓を開けてタンバルンの街並みを見た。
「おー、やーっと着いたね」
「街並み、綺麗ですね」
「うわー…久しぶりだ」
私は久しぶりにタンバルンに帰ってきて少しだけ心がワクワクした気がした。
そして、私達はその街に降りること無く王城シェナザードへと向かった。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時