35個目 side白雪 ページ37
王城に着き、馬車を降りるとサカキさんが私達を待っていて下さった。
「お待ち致しておりました、白雪どの。ラジ王子のもとへ案内致します。どうぞ」
考えたらラジ王子とちゃんとした形で会うのはこれが初めてだ。
そう考え出すと心臓が早鐘のように鳴り出す。本当に大丈夫かな。
そんな事を考えていると階段の上からラジ王子が現れた。
「遠いところよく来てくれた。再び会えて嬉しく思う。ー白雪どの」
「ありがとうございます。お招き頂きまして光栄です。王子」
そう言ってお辞儀をし、ラジ王子と目が合う。にことこちらへ向けて笑顔をされるからこちらもにこりと笑うが、少しぎこちなかった気がする。…な、なんか違う…私がそう思っているのもつかの間向こうの話はどんどん進んでいく。
「やはりこんな所では話をするにも落ち着かんな。別の部屋で茶でも飲むとしようか」
そう言われ、部屋へと案内された。薔薇の匂いと紅茶の匂いがとてもいい香りのお部屋だった。
「下がって良い」
「失礼致します」
女中さんが、ドアを閉めラジ王子が紅茶に口を付けようとしている時に名前を呼ばれた。
「白雪どの…」
「はい」
いきなり名を呼ばれ胸がドキリと跳ねる。何を言われるのだろうか。
「何故来た……」
予想もしていない言葉に私はもちろん後ろにいた2人も目を丸くしている状態だっただろう。
「あなたがお呼びになられたのですよラジ王子」
「わ わ わ わかっている!!!だがゼ…いや」
明らかにさっきのラジ王子とは全く違う。目をぱちくりさせながらもラジ王子に質問をした。
「…ラジ王子…先程までと様子が…」
「他の者達の前で君に会うのにあれ以上どうしろというのだ…」
あ、なるほどそういう…いやでもそれならどうして、なぜ来たと言われたのだろう。
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作者名:あす | 作成日時:2018年12月1日 17時