こもれび (ページ5)

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ひょうしページ5

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カタカタカタとパソコンの音が聞こえる。

翔くんは先天性の重度の感音難聴で左耳の聴力は全くなく、右耳に補聴器を着けても余程大きな音しか伝えない。

それで伝わった音もぼやっとしていて聞き分けや理解はできない。

なんつーの。サイレンとかが鳴った時「なんか鳴ってるぞ。危ないのか？」って予測して人に尋ねられるための補聴器みたいな。

小さい時から読唇でコミュニケーションを図ってきた翔くんはあまりの早口や専門的すぎる単語以外なら難なく理解できるから俺は普通に話すんだけど。

松潤との打ち合わせはいつもパソコンでそれ用につくられたトークルームを使う｡

だから2人の打ち合わせはいつも静か。
でもたまに笑い声なんか聞こえるから見てて飽きない｡

そっと首を伸ばすとテーブルに広げられた4枚の絵。

今日は久しぶりの単行本の表紙絵を決めるってワクワクしてたな。

さすがというか、翔くんの表紙の絵を依頼されたのは俺も憧れのイラストレーターの方なのを知っている。

んー、気になる。

不意に翔くんと目が合ったと思ったら、松潤もつられてこっちを見てから吹き出した。

「大野さん、こっち来て見ます？笑」

「いい？」

「ほら、翔さんもおいでって言ってますし。」

優しい笑顔の2人の間にに少し照れながらの登場を果たした。