■57.玉狛支部 ページ13
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朝から"ある人"からの電話を受けて不機嫌全開の状態で道を歩く。道にはチラホラ歩行者はいるが特別私を気にしている様子はない。
『もう、迅さん一体なんの用なのよ……折角の非番なのに…』
ーー『もしもし？迅さんどうした……』
ーー「あ、もしもしA、今日非番だよね？暇だと思うから玉狛支部に遊びにおいで、いいもの見せてあげる！じゃあ」
ーー『え？！？ちょっと迅さん今日は寝潰す予定』
用件だけ伝えたら即電話切ってしまった迅さん。しかも折り返し電話しても「おかげになった電話は___」と無機質なアナウンスが永遠に流れ続け、重い腰を上げて今は玉狛支部に行く途中である。
10分程度歩いて行くと河川のど真ん中にそびえ立つ玉狛支部に着く。1回立ち止まって玉狛支部を見上げると、玄関に向かって歩いて行く。不用心なことにドアは開いており、もしかして迅さんの罠？と勘ぐりすぎることを思ったが、開いたドアから入り、『こんにちはー』と誰かに気づいてもらうために挨拶をする。
挨拶をするも誰も玄関に来る気配もない。『迅さん……』と目を瞑り怒りに震えていると、目の前に何か毛玉のようなものが現れた。
『……』
しかもその上にはヘルメットを被った男の子がちょこんと座っており、じーと私のことを見ている。私も一緒になってじーと見つめているため、男の子と見つめ合っている状態である。
『か……』
「か？」
『可愛いいいい！！！』
均衡を破ったのは私。目の前に現れたもふもふとした動物。それに奇跡のコラボのようにヘルメットを被った男の子。私の好きなものが同時に2つ現れたのだから平常心ではいられない。堪らず、男の子ともふもふとした動物を飛びつくように抱きしめる。
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