溺れる雲が一層きれい ページ5
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「あ〜やだやだ、女ってすぐやっかみするから困るわ〜。そういうの無いから男友達と居る方が楽なんだよね」
「分かるかも。俺も女の子あんま得意じゃないけど、アズ子さんなら話せるし」
「え〜なんだよ潔、可愛こぶっても何も出ねぇぞ〜!」
___私は何を見せられているんだ?
男と女の芽生え始めた絆?
私には動物園のオスとメスのじゃれ合いにしか見れないわ。え、なんかごめん。
「でもAっちはアズ子っちより多く仕事してるって事でしょ〜?ならお喋り出来ないのも当然じゃない?って思うんだけど」
ひょこっと現れて私の両肩を掴み抗議するのは、蜂楽くんだった。
クリクリの大きな瞳と目が合うと、彼はいたずらっ子の顔で笑った。
「確かにな。俺もフェアじゃない仕事の分布はどうかと思う…っす」
アズ子さんが一応年上という事で、抗議に参加した國神くんは語尾に体育会系の砕けた敬語を用いった。
私に味方ができたことに腹が立ったのか、アズ子さんはムッとして言葉を放つ。
「選手とのコミュニケーションも立派な仕事のはずよ!それを仕事してないだとか勝手に言われちゃ困るし。男ってすぐ可愛い女子の味方したがるよね〜。良かったねAちゃん」
ふん、と鼻息荒くするアズ子さんは、額に青筋を張らせ、目尻を釣り上げていた。悪鬼のような形相で休憩室を後にする。
『男ってすぐ可愛い女子の味方したがるよね〜。良かったねAちゃん』
先程彼女が怒りを滲ませながら話していた内容を思い出す。
「良くない」
蜂楽くんの手をパシリと叩き落として、國神くんと蜂楽くんの顔を見る。2人とも驚きの表情だった。
「こういう余計な事しなくていいから。私も違うと思った事は言える。……それに、あの人が仕事しない分私がヒョロメガネに評価されて次も通りやすくなるだけだし。…ってことで、まぁ助けてくれたのはありがとう」
手叩いてごめんね、と蜂楽くんの手を擦ると「Aっちって変な子〜」と楽しそうに笑っていた。
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らず - 更新頑張って下さい〜‼ (2023年3月30日 17時) (レス) @page8 id: 420a815871 (このIDを非表示/違反報告)
赤ずきん。(プロフ) - こ、恋様……!!素敵な文章…と思いながら読んでいたらまさか恋様とは…!! (2023年1月21日 20時) (レス) id: 285fa6164a (このIDを非表示/違反報告)
川栄百合子 - パスワード設定にしちゃうんすか?しないで下さい!! (2023年1月21日 18時) (レス) @page4 id: ef38169435 (このIDを非表示/違反報告)
アナと - 面白いからパスワードにしないでほしい (2023年1月21日 18時) (レス) id: 8d0ab60321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春風 恋 | 作者ホームページ:http://urana
作成日時:2023年1月21日 17時