芸術系ケンカップル-ver.dolce-【月永レオ】

【猫の手も借りたい】※リク ページ5

朝起きたら、何かの耳と何かの尻尾が生えていた。



よく分からないと思うが実際問題、鏡の前の私は絶句した表情でそのどういう仕組みでうごめいているのか分からない謎の物体に困惑しているのだ。
近所の猫がこんな耳をしていた。そして尾てい骨から生えた尻尾。人類の退化にも随分驚かされたものだ。にしてもどういう仕組みなのだろうか。私は実際こうして耳で何かを聞くことができているが、この場合一体どっちの耳が音を拾っているのだろうか。興味深いがこの興味深さは現実を受け入れたくないがために紛らわせようとしているのだろう。人間の脳とはやはり面白い。こういうことで脳が刺激されてよりよいインスピレーションを得る事が出来るのだろう。
これを次回作にしようか。しかし猫になる話など狂ったように書かれ過ぎている。二番煎じにすら笑えなくなる頃だろう。しかしその中で私は唯一のノンフィクションを手がける作家となる。背表紙にそう書いてもらおうか。
いや、誰が信じるってんだよ。信じねえわ。私も信じたくねえわ。



「インスピレーション湧きあがる！！」


あいつはあいつで相変わらずうるせえし。
こちらでは怒りが沸々と湧きあがる。この耳を見てもまだインスピレーションに惚けて新しい歴史的財産を残したいとしたなら私はやつに降伏することを認めよう。そして奴をぶっ飛ばす。
扉を思いっきり開けて叫んでやる。


「うるさい……な…って」
「おっ！A見てくれ！！
朝起きたら変なの生えてた！」

「……え…うそ」

「あれ、おまえも生えてんじゃん！
面白いなっ、わははっ！！」



朝起きたら彼氏の頭に見たことない
耳が生えていました。

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