襲撃に妄想 ページ8
一瞬、空気に緊張が走る。
それを感じ取ったのはここにいる全員。昔から耳が冴えているせいか、人の気配は多少判別できる方だ……が、これはどういう事か。
「さぁじゃじゃ馬姫様に質問だ」
私の手を握った月永さんがニヤリと笑う。
次第に近づく複数の気配にこちらは必死だというのに、いったい何を企んでいる。
まさか、こいつらの仲間…いや、そうじゃない。
これはこの二人とはどこか違う殺伐とした、息を殺した足音。
明らかに素敵なお客様ではない様子。
それでも月永さんは言葉を続ける。
「このまま近づいてくるハイエナ共に身を捧げるか……」
言葉を遮ったのは扉が開く音と、銃器を構える音。
しまった。やはり敵襲だったか…!
そして、私の焦りを見て微笑むセナと呼ばれていた人に腕を掴まれる。
「俺たちに大人しく守られるか」
黒服をまとうSPの様なガタイのいい男達に囲まれそうになったその時、月永さんが笑いながらゆっくりと腕を上げる。まるでこの時間を楽しむかのようなゆったりとした時間が流れ、そして緊張感をぶち壊すような微笑みと腕が最高潮に達した時指と指が擦れて心地のいい音が部屋の中に響く。
「checkmate」
いくつかの声が重なって、刹那。瞬きをしたが最後、私が次に目にしたのは床に伸びる男達と、先程の2名に加えて3名ほどのスーツを着たスマートな男の人たちがいた。胸元にはKnightsの証。
本当にいたんだ。
マフィアに五人の騎士がいる…だなんてそんな何処ぞの新聞社の女が妄想に明け暮れて作ったものかと思ったが。
「……おまえを拠点に連れてく」
「い、いやでも」
「往生際が悪いよ、あんた。殺されてもいいなら何処連れてかれたっていいでしょ?」
「……」
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サクラ(プロフ) - 面白いです!続き楽しみにしてます!! (2020年4月13日 11時) (レス) id: 95161687a4 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - 凄く面白かったです!これからも応援しています!更新頑張ってください! (2017年12月25日 1時) (レス) id: 96aa2f1931 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かきのたね | 作成日時:2017年11月19日 22時