part41【シンタロー視点】 ページ42
カノ「生き残るためだよ。」
カノの持つ銃の先は確実に俺をとらえていた。
普通の人の人生だったらこんなものを拝むことはそうそうないだろうが、あいにく俺は二回目で・・・かといっても慣れたわけではないから冷汗は噴き出してしまっている。
カノ「残念だけど、冗談でも何でもないよ。僕、本気だから。」
してもいない質問に答えるカノは本当にしんけんそのものだった。
「な、なんで・・・」
かろうじて口から漏れた言葉はもうすでに発した単語だった。
カノ「だーから、生き残るためだってば。」
生き残る・・・あまりにも突拍子もない話に思考回路が追い付かない。
「だから、俺を殺すのか・・・?」
自分でも恐ろしい質問をしていることに気付いた。でも口から出た言葉は取り返しがつかない。それどころか続けてたくさんの疑問が飛び出した。
「モモも、エネも、コノハも、ヒビヤも、アンも!みんな殺して生き残ろうっていうのか?!
みんなで協力して出るんじゃないのかよ!!!」
はぁ、はぁ、はぁ。息が続かない。苦しくて何度も、吸ったり吐いたりを繰り返す。
カノ「・・・・・ないでしょっ・・・」
か弱い声が聞こえた。そして
カノ「しょうがないんだよぉぉぉぉぉ!!!」
カノが怒鳴った。いつものひょうひょうとした声ではない。どすのきいた低い、でも必死な声。
カノ「僕だって!みんなでここを出たいと思ってるよ!でも・・・ダメなんだ、彼女は・・・Aちゃんは本気だから!!!」
このままじゃ・・・と言ってカノは言葉を止めた。
にらみ合うカノと俺いまだ拳銃は、俺をとらえて離さない。
先に口を開いたのはカノだった。
カノ「誰も救えないから・・・」
息を吸う。そして静かに話し始めるカノ。
カノ「僕にとってみんなは大切な人なんだ。シンタロー君も、キサラギちゃんも・・・このメカクシ団が大切でたまらない・・・でも、Aちゃんは大切なものをすべては救い上げさせてはくれない。救いたい人がいるなら、他の人を蹴落とすしかないんだよ。
彼女は・・・キドは僕にとってかけがえのない人なんだ。誰でも変わりはできない。
キドは僕が守らなきゃいけない!こんなの僕の我がままだってわかってる!でもっ・・・でもっ・・・!」
ガチャ
銃の安全装置を外す音、こいつは本気なんだ。
カノ「それでも、僕はキドと少しでも一緒にいたいっ!」
バン
乾いた・・・
発砲音
飛び散る・・・
赤い・・・
・
・
・
カノの血・・・?
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鈴錬 - 私もシンタロー大好きです^_^だからシンタローとアンをくっつけないでください! (2018年2月2日 21時) (レス) id: d592630e70 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 続き凄い気になります!更新お願いします! (2017年7月22日 22時) (レス) id: dff1be80f7 (このIDを非表示/違反報告)
忘れな草餅(プロフ) - 続けてください!!! (2017年6月4日 20時) (レス) id: 9cfa8a3d25 (このIDを非表示/違反報告)
カノ - 僕を撃っておいて終わるなんて言わないよねぇ? (2017年4月19日 20時) (レス) id: ee3c35c66c (このIDを非表示/違反報告)
鏡音羅美(プロフ) - 続きが気になります!! (2017年4月6日 17時) (レス) id: b7a61aa2ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤子猫 | 作成日時:2014年10月31日 18時