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「隆二さん、このイチゴのケーキ食べてみて!ちょっと感動的」
「どれー」
フォークでケーキをすくって口に入れた隆二さんは「まじだ」と二口目を食べた。
「はぁ……お腹いっぱいになってきた……。隆二さん、朝食はどこで食べるんですか」
「もう朝食の話!?今お腹いっぱいって言ったじゃん!」
ゲラゲラ笑う隆二さんと次に向かったのは2階のバー。
階段の前で隆二さんは“お先にどうぞ”と、わざと得意気に微笑みながら手を差し出す。
可愛らしいエスコートに、私はお辞儀をして微笑んだ。
海が正面に見えるテラス席に案内され、人気だと言うアップルモヒートを注文した。
夜10時を回って、波は見えないけど音はしっかり聞こえる。
こんな風に夜の海を感じながらお酒を飲むのは初めて。
隣には、頬杖をついて同じように波の音を聞く隆二さん。
その横顔は、写真集の1ページみたいだった。
「真由がね」
「ん?」
「テレビで観るより数倍かっこいいって、隆二さんのこと」
「まじで?数十倍ではないんだ?」
二人でちいさく笑いながら、私は真由の言葉を思い出す。
「……隆二さんは運命って信じますか」
「運命?そうねぇ……」
頬杖をついている手の人差し指でトン、トンと頬を叩いて隆二さんは暫く考えていた。
「ある程度さ、自分の力で切り開くこともあると思うんだよね。俺もじっとしててデビュー出来たわけじゃないじゃん?」
「うん」
「だけど、人との出会いは運命だなぁって思うことはあって」
「人との出会いって偶然とかじゃなくて?たまたまってことは……ない?」
「んー……だって、1秒違ったら会えてないかもしれないんだよ?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年2月5日 20時