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「あそこ気になってたから楽しみ！着替えとお化粧直す時間ある？」
「どうぞどうぞ」
私はリップを塗り直し、髪を結い上げ、黒いシフォンワンピースに着替えた。
今宵の一足はジミーチュウ。
サンダルでラフに、と行きたい所だけど“スマートカジュアル”のドレスコードがある。
少しでも涼やかに見えるようにレースのROMYを選んだ。
「お待たせしました」
バスルームから出ると、ソファに座っていた隆二さんが“んっ”と顔を上げた。
「……どう？地味かな？黒じゃリゾートに映えない？」
「全然。美人映えしてる」
「またそうやって……」
照れて俯く私の頬にキスをし、隆二さんは手を握る。
「行こ」
「うん」
レストランまではホテルスタッフが運転するバギーで移動する。
これが中々のスピードで、私は隆二さんの腕をギュッと掴んだ。
「怖い？」
「ちょ、ちょっと」
掴んだその手に隆二さんの手が重なって……このスピードも悪くないなと思う。
レストランに到着すると、隆二さんはオープンキッチンから美味しそうな匂いが漂っている１階に入った。
店内は照明抑え目で、オシャレな良い雰囲気。
雨季のバリは日本の梅雨みたいに湿度が高いけど、吹き抜ける潮風がそれを流してくれる。
「めっちゃ腹減ったー」
「私も。全然食べてないですもんねー……って見ました？今ロブスターが通過していきましたよ？」
「見たー……やばいな」
「うん……」
料理は大中小と、お皿の大きさが選べた。
二人でシェアしたり、一人でガッツリ食べたり、どんな料理か分からない物は小皿でオーダーしたり。
「あ、俺リブアイのグリル」
「私も！あとカラマリと野菜のグリル……あと、この鯛の」
「それ俺も……カラマリって何？」
「知らないです。でも何か美味しそうじゃない？」
「俺の予想、カラマリはピラフ的なやつ」
「私は和え物だと思うなー」
念願のロブスターも二人で分けながら、テーブルに次々やってくる料理を、私たちは会話と共に楽しく食べた。
……因みに、カラマリはイカのフライだった。
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2019年2月5日 20時
