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「仲良いじゃーん」









「お陰さまで」









プロポーズは保留のままだけど、純奈と健太郎くんの仲は何一つ変わっていない。









私には、それがとても眩しく見えた。









「A、全然話変わるんだけどさ。あんたやっぱ結婚願望ないの?」









「変わりすぎ!話が変わりすぎ!そんで結婚願望はない!」









「変なのー。右の人のこと大好きなくせに」









「好きだよ?将来的にもずっと一緒に居たいと思ってる。でも、そこに結婚の文字は……ね」









「なんでかなぁ」









「結婚至上主義、母性礼賛に一石を投じてるんだよ。独身で自立して人生を謳歌する事にも価値あるじゃん」









「ご立派ですねぇ……」









呆れたように頭をユラユラさせた純奈が、









「A」









テーブルの下で私の足を軽く蹴った。









「なに?」









私の後ろを純奈が顎でしゃくって、私は少しだけ顔を後ろに向ける。









心の中で「あっ」と声を出した。









私たちの斜め後ろの席に、ジャマ子が友達数人と座っているのが見えた。









顔を純奈の方に向け、私はパチパチ瞬き。









純奈の唇が“わざと?”と動いて、私は首をかしげる。









店内に空いてるテーブルはいくらでもあるのに、何故こんな近くに?









やっぱり……わざと?









お互いのテーブルの会話が聞こえるか聞こえないかの距離で、純奈が「たいしたことないじゃん」と超小声で呟いた。









「静止画と全然違うし。動いてるとそんなでもないじゃん」









「そう?」と同じく超小声で答える私。









端から見たらウィスパーボイスで囁きあってる二人だ。









「……さっきまで何の話してたっけ?」









「あ……手紙!手紙の話!」









「あぁ、そうだ!それで?どうするの?」









「……やっぱり、もう少ししてから読もうかな───」









.








.









.









「同情で気ぃ引いたんでしょ」









.









.









斜め後ろのテーブルから聞こえてきた言葉に、私と純奈の会話が途切れた。









「“可哀想な私”で隆二くんの気を引いたんだよ」









その会話の主語になるのは、どう考えても私。

3→←私の知らないあなた。



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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年2月5日 20時

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