LOVE HURTS. side H ページ25
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────Aさんのこと……本当にもう、好きじゃないんですか……
ひなたの言葉に、俺は眉を潜めた。
「……何?」
「今日だって本当はAさんと行くはずだったんですよね……」
「そうだけど……え?何が言いたいの?」
「私、代わりですか。Aさんの」
何故、そういう風に思うんだろう。
周りの誰もそう思ってないのに、何故彼女だけがそんな風に。
「俺がまだ、Aのこと引きずってるって言いたいの?」
ひなたは黙って目を伏せた。
これは肯定の意味だろう。
「今日のことも、普段食事に行く場所も、全部Aさんの気配がします。いつも二人だけじゃない。Aさんの思い出もそこにある」
俺は静かに息を吸い込み、そして静かに吐き出した。
「今日、行きたくないなら行かなくて良い。でもAに対する俺の気持ちをそんな風に捉えられてるのは納得いかない」
ひなたは一瞬俺を見上げ、また目を伏せる。
“納得いかないのは私もよ”と、言うように。
「……飯行くか」
「え?」
「ちょっと話そう」
ひなたの返事を待たず、俺は歩き出した。
背中に聞こえる足音で彼女がついてきてるのを感じながら、
俺は一件の店の前で振り返った。
「寿司食える?」
「は、はい」
「うん。じゃあ」
Aが落ち込んだときは、いつもこの店だった。
確かにここには、Aとの思い出がある。
思い出があるから、ひなたを連れてきた。
「何食う?」
「えっと……」
状況が読めない感じで、ひなたはメニューと店内の様子を交互に見ている。
「登坂さんに、お任せします」
「そう?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時