色戀、召しませ。 (ページ26)

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Rascal. ページ26

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“久しぶり”

隆二さんからずっとスルーしたままの言葉を再び投げ掛けられて、私は黙りこんでしまう。

雑誌を持つ指先に力が入ってキュッと音を立てた。

外からじゃ見えない位置に隆二さんは居たんだろうな。

ずっと会いたくないと思ってた。

このまま忘れてしまおうと思ってた。

いつか、振り返った時に“あぁ、そんなこともあったな”って心の中で笑いたいと思ってた。

会いたくない、忘れてしまいたい

裏を返せば、私は会いたかったし思い出になんかしたくなかったんだ。

でも、住む世界が違う人、環境が違う人を好きなると痛い目に合うことを、私は去年の失恋で覚えてしまった。

これ以上、関わって好きになったら…………辛いな…………。

そんなことを考えながら網膜に焼き付きそうな程、誌面のクレソンのサラダをひたすらに見続けている私の携帯から通知音が聞こえて

直感で秀香だと思った。

帰りついたよー！今日は楽しかったね

いつものそんなLINEだと思って画面を見た私は、そのまま固まってしまった。

“あ”

たった一言どころか、たった一文字

“あ”と、隣に立ってる隆二さんから送られてきた。

「届いてんじゃん」

私の直感、不感症気味。

ゆっくり顔を隆二さんの方に向けてみた。

笑ってるとも怒ってるとも言えない表情で約20cm下の私を見ている。

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───かっこいー……………。

「無視？」

かっこ良いけど、無視？の言い方が凄く意地悪だった。

彼はパブリックイメージを変えるべきだと思う。

“笑顔が可愛い”から“わりと強気”に変えるべき。