episode 3-15 ページ11
グリファスside
「そういえば学年長、��今年も��ってことは、去年も同じことが？」
「ええ、去年はまだ彼の対策ノートの評判があまり広まっていなかった分、これ程大きな騒ぎにはならなかったんですが……今年は��テストで良い点を取りたいならモストロ・ラウンジへ��という噂が学園中に流れていたようで」
『良い噂だけが流れて、契約違反の代償は守秘義務によって秘匿されたままであった、と』
「そのようです。結果、今年はアーシェングロットくんと取引する生徒が続出。全学年、全教科の平均点が90点を超える事態になってしまった……と言うわけです」
要するに、殆どの生徒がアズールに頼ったのだ。この学園らしい結果である。こういう阿呆共とは契約をする気にはなれない。
「じゃあ、去年アイツとの勝負に負けたやつは、未だに能力を取り上げられたままってことか」
「それが……彼は去年、生徒たちから取り上げた能力を元に戻すことを条件に、学園内で��モストロ・ラウンジ��の経営を許可するよう私に交渉して来たのです」
『フフッ、面白い方ですねェ』
「なんつー野郎だ……学園長を脅して取引なんて、あのレオナ先輩が近づきたがらないのも分かるぜ」
「あぁ、今年は何を要求されるか……」
態とらしく手を震わせてクロウリーが肩を落とした。彼がこんな所にわざわざ来たというのはつまり、そういう流れである。
『��お優しい��学園長さんが次の要求を飲んでしまう、などという事態にならぬよう、��監督生��であるワタクシに助けを求めにいらっしゃったのですね。承りました』
「いや〜、ラルヴァくんは話が早くて助かります』
クロウリーは泣き真似をピタリとやめて満面の笑みを浮かべた。面倒事を頼む側というのは随分と気楽そうである。
「じゃ、私は忙しいのでこれにて失礼。くれぐれも、頼みましたよ！」
クロウリーは椅子から立ち上がると、玄関からさっさと出て行ってしまう。あまりにも手際の良い押し付けっぷりにジャックは呆れた目をしていた。
「あの学園長にしてあの生徒ありって感じだな……で、具体的にどうするつもりなんだ？」
『敵情視察でも行いましょうか。契約書の弱点が掴めるかも知れません。エースさんとデュースさんには暫く我慢して貰いましょう』
「狩りの基本は獲物をよく知るところから、だな。アイツら少しくらい痛い目見て反省した方がいいしな」
『では、明日からの実行で宜しいですか？』
「あぁ。ホームルームが終わったら集合だ」
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作者名：カガチ | 作成日時：2022年12月9日 4時
