【Trickstar】無表情少女の感情論。Ⅷ (ページ9)

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「もち、ろん……ッ」

ブレザーの袖で涙を拭いながら、あんずは言う。

勿論、それはつまり＿＿＿。

「本当か……？」

「私、真緒くんのこと好きだから……！」

相思相愛。

俺達は、晴れてカップルになれた。

「あー、もう泣くな！」

それが嬉しくて、俺はあんずの元に駆け寄る。

指で涙を拭うと、あんずは嬉しそうに笑った。

「Aから、たまに真緒くんのこと教えてもらってたの」

脳裏にニヤニヤと笑う、Aの顔が思い浮かぶ。

ここ最近やけに俺のことを聞いてくると思ったら、そういうことだったのか。

「Aに感謝、だね……」

「ッ……あぁ、そうだな！」

チュッ

あんずのでこにキスを落とした。

その時だった＿＿＿。

「……やだ、見ました奥様？」

「見ましたわ、奥様。こんな場所でキスをするなんて……」

今の雰囲気にはとても合わないふざけた会話。

会話が聞こえた方を見ると、Aとスバルがニヤニヤしながら俺達を見ていた。

「Aー!!」

「ギャーッ!!」

Aの元に突っ込んで、アイアンクローをお見舞いする。

「おめでとう！サリ～、あんず！」

春風がそっと、俺達の頬を撫でた。