【Trickstar】無表情少女の感情論。Ⅷ (ページ6)

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「……すまない」

「すまない、じゃないよ……」

猫を彷彿とさせる大きな目に涙を溜めて、命はポロポロと涙を流す。

「何で僕に黙って無理するの……。北ちゃんも、類くんみたいに壊れると思った……!!」

類と言うのは、血が半分だけ繋がっている命の兄である。

両親が交通事故で他界し、引き取り手がいない所を引き取ったのだとか。

「僕、そんなに頼りない……？」

俺は命を抱き締める力を強くする。

「命は頼れる。……ただ、俺が相談して命が悩んで、自滅するのを見たくなかった」

命は俺のことでも自分事のように悩んで、俺の力になってくれようとするから。

中学の時に1度自滅して、何も信じることができないようになったから。

それが怖くて、俺は相談しなかった。

「もう、命が壊れるのは嫌なんだ……」

小学校、中学、高校。

命が壊れたのは、俺のせいと言っても過言ではないから。

「……むぅ」

命は頬を膨らませると、俺の頬を触りたいのかぴょんぴょんと飛び跳ねる。

しかし、触れないことに気付いたのかしょぼんとしながら椅子を持ってき、その上に乗った。

そして、俺の頬に両手を添える。