『甘 酸 っ ぱ い。』【赤木路成】

初めて ページ3

モップ掛けを終え、ミーティングしている部員たちを離れたところで見る




『スポドリ作ろかな…』



でも勝手に作るんはなぁ



監督に許可とってこよ



『あの』



「どないした、なんやなんか用か？」



『ドリンク用意した方がいいかな、と思いまして』



「マネでも何でもないのにせんでええよ、モップ掛けもしてもろたし」



『大丈夫です！少しでも役に立ちたいんで』



「…ほうか、じゃあこれ」



そう言い渡されたのは部室のカギ



「入ってすぐ右に粉があるとおもうから、それで作ってくれたらええ」



『はいっ！』




　


そして今渡された鍵を手に部室へ向かい、鍵をあける



『あ、そういや皆の好みわからへんやん…』




普通くらいでええか





しゃかしゃかしゃかしゃか…





部室に混ぜる音だけが響く



冷やしといたほうがいいよな






「「「ウ―――ス！！」」」




無事に作り終わったころタイミングよくミーティングが終わった



ドリンクの入った籠を持ち部員たちの方へ向かう




『北さん』



「？あ、ドリンクまで作ってくれたんか……」



私の手元のドリンクを見て申し訳なさそうな顔をする北さん



『明日も頑張ってくださいね！』



「ホンマおおきにな」



一人一人に渡していき最後は



『赤木先輩』



「ん？あ！ありがとう！」



太陽みたいな笑顔で受け取ってくれる先輩




体が、熱いや……




無事...というか途中金髪に凄い嫌々オーラ出されたけど、配り終え帰る準備をする




すると隣に来る赤木先輩




「なあ、Aって」




『？はい』




「中学の頃ベストセッター賞取り続けてたA？」




『へっ？』



「お、あたりか？」



あってる、確かに私はベストセッター賞を３年連続取り続けてた、けど



『なんで知ってはるんですか？』



「中学ん頃たまたま月バリで見てん」



『そ、ですか』



たまたま、だけど少しでも彼のに知ってもらえていたことに何故か胸が熱くなる




こんなの初めてで、よくわからないけど




多分、これを恋と呼ぶのだろう




好き。




そんなものが私の中で渦巻いて大きくなる




「ほな帰ろか！家まで送るわ！」



そんな言葉が横から飛んでくる



え？



家までって言った？




『え、でも』



「遅いし女の子１人で帰らせたら危ないから、ほら行くで」




少し強引な先輩




『ちょっ...！』





夜桜の下






月に照らされる２つの影。

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