3話 ページ5
sh side
授業も終わってもう下校時間だ。
楽しすぎて時間が経つのが早く感じたな。
チラッと登輝くんの方を見てみる。
他の生徒がゾロゾロと教室を出ていく中、彼は今も俯いて席に座ったままだった。
「おーい、爽、一緒に帰ろうぜ？」
「あー…ごめん、今日やることあるから！」
「…そうか…じゃ、また明日なー！」
今日新しく出来た友達の誘いを断ってしまうほど、彼の事がとても気になってしまう。
いやしかし…
登輝くん、昔もこうだったのかな。
それなら、結構危ないかもしれない。
もしかしたら、いじめの標的にだってなり得る。
あーダメ。
…悪い方向に考えないようにしないと…
一緒に帰ろうと誘ってみることにしよう。
そうすれば、何か登輝くんのことが分かるかもしれない。
「登輝、今日一緒に帰ろう」
俺が声をかけると、彼はびっくりしたように顔を上げ、あわあわと俺から逃げるようにして走って行ってしまった。
「ご、ごめんなさい！」
という、彼の必死そうな声を残して。
あれー…俺嫌われたのかな…
走っていく彼の背中を見つめて、また別の友達と帰ることにした。
友達と帰る道でも、彼の姿が頭から離れなかった。
_________________________
kn side
…あーあ
せっかく話しかけてくれたのに。
僕が警戒してしまったせいで、距離が開いちゃった。
僕もダメだな…
なんにもできないや。
辛かった。
でも、あの人は僕を無視しなかった。
結局僕が離れてしまったけれど。
でも、これでいいんだ。
僕なんかに関わってたら、あの人まで危険な目にあってしまう。
僕だけでいいんだ。
拳を振るわれるのは。
中学の頃の記憶が蘇ってくる。
「…っ！」
嫌だ。
本当は、あの人と一緒にいたい。
でも、あの人まであんな目に合うのはもっと嫌…
やっぱり、僕とは距離を取ってもらったほうがいいかもしれない。
放課後の綺麗な青空とは逆に、
僕の心がどす黒く、更に赤く、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされていく感覚。
…弱いな
僕って、こんなに弱かったっけ
もう、いいや
あの人には、僕のこと、諦めてもらおう。
そう決意した僕の眼には、大量の涙が溢れていた。
本当は、あの人に救って貰いたかった。
そんな願いも、シャボン玉のように現れてはすぐに消えていってしまった。
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます！感想嬉しい限りです！！励みにして活動させていただきます…！ (2021年1月3日 23時) (
レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます！見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました（笑）凄く感動しました！ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！ありがたい言葉嬉しい限りです〜！！番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください！ (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます！！更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです！更新お疲れ様でした！番外編…！可能ならば書いていただきたい！長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです！更新頑張ります〜！ (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおみどり | 作成日時：2020年10月14日 7時
