4話 ページ6
kn side
あれから数日。
本当なら、今も僕は1人寂しく時を過ごしていた…
はずだったけれど。
あの人は毎日僕に話しかけてきて、離れようとしても離れてくれない。
ほら、今だって。
「登輝〜なんでそんな冷たくするんだよ〜」
「……」
べったりくっついてきている。
…本音を言えば、ちょっと嬉しかったりしてるけれど、このままいれば、いずれ危ない目にあってしまうだろう。
「なんで…」
「え?」
「なんでそんなに…ついて来るんですか…」
教室移動の為に歩いていた足を止めて、くるりと鮫島さんの方を見る。
「んー…なんで、か…」
考えるように上を見上げると、すぐにまとまったのかこちらを見る。
「登輝の笑顔が見たいから、かな?」
「…は…?」
ニカッと微笑む鮫島さんの言葉に耳を疑う。
そのせいか変な声が出てしまった。
「…そう、ですか…」
「あ、登輝敬語やめてよ!なんか距離が遠く感じるだろ〜!」
「……」
鮫島さんの声を無視して僕はそそくさと教室へ向かった。
まぁ…同じクラスだからずっとついてきてたけど。
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sh side
「なんでそんなに…ついて来るんですか…」
登輝が振り返って言った。
俺は最初に出会った日から、登輝の事が頭から離れることはなかった。
あの日からずっと、登輝と仲良くなりたいと思っていた。
だけどずっとついて行って話かけても返事してくれなかったから、いきなりそんな問いを投げかけられてびっくりした。
「んー…なんで、か…」
仲良くなりたいと思ったきっかけは…
あの日見た、登輝の星空みたいな眼に、心を撃ち抜かれたからかな。
…え、俺きも
ただでさえ距離が縮んでいないのに、いきなりこんなことを言うのは引かれそうだな…
数秒に渡る熟考の末、頭に浮かんだ言葉は、
「登輝の笑顔が見たいから、かな?」
これだった。
「…は…?」
と、登輝は怪訝そうな顔をする。
あれ、もしかして俺やらかした?
「…」
そそくさと歩いて行ってしまう登輝の背中を追う。
「ちょ、登輝!」
肩を叩いても無視するばかりだ。
笑顔が見たいのは、事実だから、
俺はなんとしてでも登輝の心を開かせてやる!!
決意に滲んだ表情は誰にも見られる事なく、
ただただ時が過ぎていくだけだった。
…俺と登輝の距離は縮まることなく。
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます!感想嬉しい限りです!!励みにして活動させていただきます…! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます!見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました(笑)凄く感動しました!ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます!ありがたい言葉嬉しい限りです〜!!番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください! (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます!!更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです!更新お疲れ様でした!番外編…!可能ならば書いていただきたい!長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます!今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです!更新頑張ります〜! (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおみどり | 作成日時:2020年10月14日 7時