ペット06 ページ7
「あーー気持ちいいです。
試しに『お痒い所はございませんかー？』って言ってみて貰えます？」
A「うるさい黙れ」
ー数十分前ー
A「それよりあなたなんか汚い。泥とか付いてるし」
猫っ毛には茶色くこびり付いた泥。髪の毛だけでなく服や腕。至る所に付いている。
A「汚い、風呂入ってきてよ」
ここで生活するのだ。綺麗にしてもらわないと困る。
「いや、だって俺、手怪我してて」
ほら、と言って見せてきた右腕には茶色くなった包帯。
A「だから私にどうしろと」
「洗ってくれません？」
ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ
「てかなんサングラスしてるんですか。
全然見ていいのに」
ほらほらーと真顔で言う猫野郎。
A「あんたが良くても私が良くないのよ。でも曇ってきたわ」
せめてもの抵抗として着けたサングラスは溢れんばかりの蒸気で既に曇り視界はい悪くなる一方だ。
もういいやと思い、使い物にならなくなったそれを外すとやけに筋肉質な身体が目に入る。
A「あんた結構鍛えてるの？指も綺麗だし。」
「セクハラですか？勘弁して「黙れ」」
湯船からお湯を掬うようにしてから呟く。
「少し、バレーボールを。」
10秒ほど待っていたが何を口を開かない。
これ以上話す気はきっとないのだろう。
A「ふーん。
はい、終わり。あとは自分で拭いてきなさい？」
そう言って足早にバスルームから立ち去った。
この場を離れたかったのだ。
彼の目が
深く闇に沈んでるようにみえたから。
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作者名：朱雀 | 作成日時：2015年12月11日 18時
