another 4 ページ4
「本当?よかった!」
花が咲くような明るい笑顔に、狼はそれでよかったんだと思って、安心して笑った。
「なあ、お嬢さん。
君は俺が恐くないのかい?」
「村の人達はみんな狼さんは恐いって言うわ。
でも、狼さんが恐いことをしているのを見たことなかったもの」
「見たことないだけで、本当に恐い奴かもしれない」
「でも、狼さんはお腹が空いてても私じゃなくてパンを食べてくれたわ。
人を食べるのは嘘だったのよ」
彼女が楽しそうに笑ってくれるのが狼は何よりも嬉しかった。
自分が人を食べないと信じてくれた人も初めてだった。
「狼さんはここが好きなの?」
「そうなんだ。ここに来ると心が落ち着くんだ」
「ここはいいところだものね」
誰かとこんなに楽しく話せたのは生まれて初めてだった。
狼は名残惜しいと思いながら立ち上がる。行かなくてはいけない場所があったのだ。
「狼さん、行ってしまうの?」
「ああ……約束があるんだ」
「それじゃ、はい」
赤頭巾の少女が差し出したのは黄色い小さな一輪の花。
狼がそれを受け取ると、少女はまたにっこり笑った。
狼はその花を一輪持って少女に手を振る。
少女はまた花畑の真ん中に戻っていって、そこで狼に手を振っていた。
22人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
禊 - 素晴らしい!こんなに良い作品久々に見ました…! (2015年4月27日 21時) (レス) id: dc01c76827 (このIDを非表示/違反報告)
雪丹@ゆきたん(プロフ) - ちょ…マジ泣いた。なんかこういうのって好きですw良かった。これからも頑張ってください。 (2014年10月22日 19時) (レス) id: 3257c510b7 (このIDを非表示/違反報告)
えりんご(プロフ) - 文章をかく能力がとても高いですね。何歳なのか知りませんが不登校だと思えません。占ツクで稀に見るすばらしい作品だと思います(*^^*) これからも頑張ってください♪ (2014年10月21日 23時) (レス) id: 6e46533c57 (このIDを非表示/違反報告)
あまがさ - 凄い文章力だと思います!参考にさせて頂きます。 (2014年10月21日 16時) (レス) id: d9eef5a95a (このIDを非表示/違反報告)
珠 - 狼さんいい人ですね・・・( ノД`)シクシク… (2014年10月20日 17時) (レス) id: a53ed1be91 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2013年4月9日 12時