273:センラside ページ8
「センラ!」
「...どういうつもりや」
坂田の魔法のせいで動けない。
やめろと腕を振り上げたまま坂田を睨みつけるとローブにAちゃんが隠されていた。
「お前には他にやる事があるやろ!」
泣きそうな声で坂田はローブに隠したAちゃんに顔を向けた。
こちらに歩いて来たうらたんが俺の肩を叩く。
「それは俺たちの役目だろ」
お前は手を汚しちゃいけないと耳元で小さな声で言うと叫び続ける男を軽々とリビングへ吹き飛ばした。
「センラ」
一部始終を見ていた志麻くんも瞳を紫に光らせ拳銃を見せて後は任せろと頷く。
「簡単に殺ったりせーへんから」
だから安心して行ってやれとAちゃんに視線を向けた。
「センラにしか出来ひんこと、あるやろ」
(そうや...)
一番したかったこと。
見つけ出したら真っ先にAちゃんを抱き締めたいと思っていた。
俺にしか出来ないこと。
Aちゃんの涙を拭って抱き締めるのは、俺だけ。
「、、、ごめん」
小さく言うと軽くなった腕。
振り上げた腕を降ろしてAちゃんのいるベッドサイドに近付くと坂田は馬鹿野郎、焦ったやんけと杖を振りローブを外した。
「センラ!」
「ごめん、ごめんな」
ローブの下から姿を見せたAちゃんは腕を広げてすぐに俺の身体に収まった。
坂田が壊してくれた手錠のお陰で背中にまわされた腕は強くて、どんなに不安な思いをしていたかがわかる。
「Aちゃん」
抱き締めて思い切り肩を抱くと俺の名前を呼びながら泣いている声が聞こえた。
(こんな細くなって...)
抱いた肩は、折れそうな程細くなっていた。
膝の上に乗せた身体は羽のように軽い。
顔を埋めた髪から知らない匂いがする。
それでも、俺の肩に顔を埋めて泣くAちゃんの声で腕の中にいることを実感した。
「遅くなってごめん。怖かったな」
折れないように、でも力強くAちゃんの背中を抱くと首を振る。
「来てくれるって、信じてた」
ありがとうと嗚咽混じりに必死に伝えてくれる声に胸が締め付けられる。
怖い思いをしたのに。
それでも信じて待ってくれていたのか。
抱き締めていた身体を離すと涙に濡れた瞳が見えて切ない。
不安そうに揺れる瞳。
こんな顔、一生見ることは無いと思っていたのに。
色の変わった口端をなるべく優しく触れると痛いのか顔を少し歪ませた。
(ごめん)
痛いに決まってる。
こんなに酷い痣、余程の力じゃないとつけられない。
775人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時