妖たちと暮らす家７

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「おい、そろそろ帰るぞ」

「Aちゃん、ゆっくりせなあかんしな」

「はーい」

うらたんの一声でみんなは次々と腰を上げて寝室の扉へと向かっていく。
リビングに行こうと立ち上がろうとすると上手く力が入らない。
それに気付いた彼は私の肩に手を掛けた。

「今は無理せんと。またどうせ近いうちにみんな来るで」

「でも、、、」

「Aちゃん、また元気になったら遊ぼ！」

「俺らはいつでも時間あるんやし」

「そうそう。だから今は沢山休んで」

あとついでにセンラの事お願いねとうらたんは意地悪く笑った。

「あとね、会社の事は心配しなくていいよ。１ヶ月お休みにしてあるからね」

「、、、どうやって？」

「それは秘密。でも本当に大丈夫だから。僕と坂田に任せて」

魔法使いだしね？とさかたんと天月さんは顔を見合わせて笑っている。
それにわかったと頷くと二人は嬉しそうに笑ってくれた。

「またね」

「みんな、本当にありがとう」

お礼はまた今度するねと言うといつも良くしてもらってるからお礼はいらないと手を振って姿を消していった。

「やっと静かになったー」

「楽しかったね？」

「そうかー？これどうするん」

坂田め、とベッドに山盛りになったチョコレートを何個か手に取ってシーツの上で転がしている。

「毎日ちょっとずつ食べよう」

「そうやね」

とりあえずこれは片付けるねと彼は大きな手で掬っていく。
サイドテーブルに再び小さな山になったカラフルな包装のチョコレートは私の気分を高揚させた。

(可愛い)

綺麗とか、可愛いだとかあの部屋で思うことなんてなかったから些細な事が嬉しい。

「どうしたん？」

笑ってた、と彼の指が頬を撫でた。

「帰ってきたなぁ、って嬉しくて」

「そうやね。帰ってきたよ」

長かったと彼の腕が背中にまわってそのままシーツへと倒れ込んだ。
そのまま抱き締められると大きく深呼吸をした。
少し冷たい体温に、彼の匂い。

(帰ってきた、、、)

髪を撫でていた彼の手が止まった。

「、、、センラ？」

「お風呂入らへん？まぁ、、、これは俺の我儘やけど」

「え？」

「しんどい？明日にする？」

髪を梳きながら手を上げられると、この家に帰ってきてからより鼻につくようになった自分の髪の甘ったるい匂い。

「入る」

「無理してへん？」

「してないよ。入りたい」

早く前の様に同じ匂いになりたいと言うと彼は嬉しそうに笑ってお風呂の準備してくるねと寝室を出ていった。

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