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マンションのエレベーターで二人きりになったら前のようにキスをしてくれるんだと思っていた。
でも彼はそれをせず、手を繋いだまま私を優しく見下ろすだけで何もしなかった。
タクシーの中でもただ心配そうな瞳で気にかけてくれるだけで何も言わなかった。

「センラ?」

「んー?ちょっと待ってな、鍵開けるから」

手は離さずに渡していた合鍵をポケットから取り出して玄関を開けると私を先に入れた。

鍵が置かれた音がしてすぐ、肩を抱かれ強く抱き締められる。

いつもと違う彼にどきどきと鼓動は早くなる。
それと一緒に、何故か嫌な予感もした。

「このまま聞いて」

「、、、うん」

何を言われるんだろうと身体に響く心臓の音が煩い。
不安で彼の背中に腕を回すと抱き締める力はより一層強くなった。

「、、、手紙、送られてきた?」

「え、、、うん」

何で知ってるんだろう。
お昼の電話では何にも触れなかったし、もちろん帰りにも一言もその事について話していない。

「ほんまは手紙は毎日届いてたんよ。でも不安にさせたくなくて、先に抜いて確かめてた」

「、、、うん」

「今日な、Aちゃんの彼氏は自分やって手紙が夕方届いててん」

「、、、」

「手紙も喜んでくれたし、付き合おうっていう電話もしたって。そういう事になったからって」

「そんなわけ、」

慌てて口を開いた私に、彼はわかってると優しく頭を撫でる。

「何言ってんねんこいつって思うけど、こんな変なこと言い出す奴の考えてる事なんかわからへんし」

「そうだね、、、」

「何かあったらどうしようってずーっとその事ばっかり考えてたから、今二人で帰って来れて安心してる」

「、、、私も同じこと考えてたよ。センラに何かあったらどうしようって」

お昼の不安がふと蘇ってくる。
足元のふらつく感覚はあるもののあの時とは違って彼が抱き締めて支えてくれているおかげでしっかり立つことが出来てる。

「俺は人間相手に死なへんし怪我したってすぐに治せる。人間が言う事だって気にならへん。けど、、、Aちゃんは違うから」

だから、何かあってからでは遅いと耳元で彼の声がする。

「傷付いて欲しくないから」

「、、、私には、センラがいるから大丈夫」

何があったって、怖くないわけじゃないけどきっと平気でいられる気がする。
こうやって心配してくれる彼がいるから。
私の事で一喜一憂してくれる。
ずっと一緒にいると約束もしたから。
きっと、大丈夫。

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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 天月   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時

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