215 ページ36
昼間は元気な坂田に振り回されて散々だったと呆れ笑いの彼が冷蔵庫から出してきた箱には、人気のパティシエが初出店したという話題のケーキが入っていた。
「めっっちゃ並んだわ」
「だろうね。会社でもみんな一回は食べてみたいって話してたから嬉しい」
「行きたくないって言うてたけど頑張って行ったご褒美」
「今日ご褒美ばっかりで贅沢過ぎない?」
そんな事ないよとフォークを取りにキッチンから戻ってきた彼が目を細める。
箱の中のケーキはどれも美味しそうで迷ってしまう。
「全部ちょっとずつ食べたら?」
「え!」
「Aちゃんの為に買ってきたんやで。それに食べてみたかったんやろ?」
それはそうだけど、、、そんな贅沢していいのかなと少し罪悪感が出てしまう。
結局、一口ずつ彼がフォークに乗せて運んでくるのを食べてしまった。
「ご褒美ありがと」
「どういたしまして」
食べた後の後始末までしてくれて今日は至れり尽くせりだなぁとソファから彼を見上げると抱き上げられてしまった。
「なに、、、?」
「いい子で待ってた俺にご褒美頂戴」
おでこにされたキスで何となくわかってしまった。
ご飯もお風呂も済ませて夜も更けたから寝室に行くしかない。
真っ暗な寝室のベッドに優しく降ろされて見上げた彼の瞳は優しく弧を描いている。
「さっき続きしようねって言うたもん」
まだ抵抗の言葉は言ってないのに拗ねた様に言う彼が可笑しい。
断る気なんて初めからないのになぁと背中に腕を回すといつもの様に笑ってくれた。
「私はこんなに沢山ご褒美貰ったのに、センラはこれでいいの?」
「俺はAちゃんが居てくれれば他に何もいらんから」
それは私も同じなんだけど、と言おうとしたのに唇は塞がれてしまった。
「あ、、、外す?大丈夫?」
「外したく無いな」
素肌に触れたんだと思う。
何も纏わずに贈ってくれたブレスレットだけつけた私の手を握って彼は聞いたけど、外して欲しくなくて首を振った。
「似合ってる」
ブレスレットにも軽く口付けたのを見てより特別な物になった気がしてずっと外したくないなぁと目を閉じる。
繋げた身体も、何度もされるキスも、彼の口から放たれる言葉も、肌を撫でる手も何もかも全部甘い気がした。
薄く開いた瞳に彼の淡い瞳の光が映って安心する。
守られてる気がするから。
ふわふわとした意識の中、一人の時に求めた彼の瞳がもっと見たくてブレスレットをした手で頬に触れると照れた様に笑った。
510人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー!貴重な男性コメントありがとうございます!!しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです!!次のお話でも宜しくお願い致します! (2019年8月8日 3時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します!初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ;__; )!長くお付き合い頂いてありがとうございます!もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね!これからも楽しみにしております! (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あーりん | 作成日時:2019年7月14日 15時