214:センラside ページ35
折角ラッピングしてもらったけど、どうせなら驚かせたいなぁと目を閉じたままのAちゃんを見て悪戯心が芽生えてしまった。
お姉さんごめんなさいとラッピングのリボンを解いてゆっくりとなるべく音がしないよう手首に着けると驚いたのかAちゃんはすぐに顔を上げてしまった。
「お疲れ様。よう頑張ったね」
喜んでくれるかなぁとドキドキしながら手首を眺めるのを伺っていると買ってくれたのかという問いから口を開く様子がない。
黙ったまま顔を見つめられてデザインが好きじゃなかったのかもと違う意味でドキドキしていた。
「気に入らんかった?」
やっぱり一緒に買いに行くべきやったかなぁと不安になる。
でもあのお店の金額を見たらAちゃんは遠慮してしまう気がしたし似合うと思ったからこれを贈りたかった。
小さく聞こえたような気がした嬉しいという言葉にならない声にとりあえずほっとした。
視線を落とした瞳からはぽろぽろと涙が零れて予想外の事にどうしようとパニックになる。
(え、なんでなんで)
悲しい涙じゃないことはわかっているけどAちゃんの泣き顔に弱い。
悪い事をしてしまったような気がして慌てて拭うけど止まらない涙にどうしていいかわからない。
嬉しい?と聞いたら慌てたように何度も頷くのが可愛い。
「泣かせたくて買ったわけちゃうんやけどなぁ」
目を赤くして小さく笑う顔に胸が締め付けられる。
なんとなく泣き顔を見れなくて額をくっつけたままキスをすると何度もありがとう、嬉しいと言ってくれた。
なんだかその言葉に照れてしまって合わせた額を離すことが出来ない。
触れた頬からようやく涙が引いた頃に顔を離すと、化粧を落とした幼い顔で真っ直ぐ俺を見上げるAちゃんと目が合った。
「一生大事にするね」
ありがとうとAちゃんからされたキスが嬉しくてソファとテーブルの狭い間で思い切り抱き締める事しか出来なかった。
「それで終わりじゃないから」
待っててと言うとこれだけでもう充分と可愛い事を言う唇を塞ぐと今度こそ綺麗に笑ってくれた。
大切な人には、指輪を贈るのを知った。
俺が指輪を贈るのはこの子が最初で最後になるんだろうなと確信してる。
プレゼントしたブレスレットを腕の中で嬉しそうにずっと眺めるAちゃんに可愛いと好きという気持ちが溢れてその時はまた泣いちゃうんかなぁ、泣かないで欲しいなという気持ちでまだ少し赤い目の瞼に出来るだけ優しく唇を落とした。
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あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー!貴重な男性コメントありがとうございます!!しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです!!次のお話でも宜しくお願い致します! (2019年8月8日 3時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します!初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ;__; )!長くお付き合い頂いてありがとうございます!もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね!これからも楽しみにしております! (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年7月14日 15時