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先に上がった彼が髪を乾かしてあげるからソファにおいでと言うのにリビングにドライヤーを持って行くと作らなくていいように買ってきたとテーブルの上には夕食が準備されていた。

「ありがとう」

「疲れてるやろ?食欲ある?」

新幹線の中では早く会いたい気持ちでいっぱいで食欲なんてどこか行ってしまっていたけど二人でお風呂に入って帰ってきた安心感でいっぱいになるとお腹が空いてきた気がする。

「お腹減ってきちゃった」

「良かった」

ちゃんと向こうでご飯食べれたん?と髪を梳きながら穏やかな声と共に乾かされていくのが心地良い。
いつも彼がするみたいに膝に腕を乗せて目を閉じると乾かす手がもっと優しくなった気がした。

乾かし終わった後も頭を撫でる優しい手にまだ目を開けたくなくて膝の上に頭を乗せていると撫でられていた手が離れて何か音がするなと思っていると彼の体温じゃない冷たい感覚がした。

驚いて目を開けると悪戯に目を細めて笑う彼の顔が見えて混乱する。

「お疲れ様。よう頑張ったね」

「ありがと、、、」

冷たい感覚がした自分の手首を見ると見覚えの無いブレスレットが目に入った。

(これ、、、)

「買ってくれたの?センラが?」

「そう。坂田にお願いして買いに行ってん」

気に入らんかった?と少し不安そうな彼の顔を見上げたまま黙ってしまう。
どうしよう、嬉しい。
嬉しいから早く言葉にしないといけないのに言葉にならない。
不安そうな顔を早く無くしてあげたいのに。
よく頑張ったねという優しい言葉とわざわざ彼が買ってくれたという初めてのプレゼントに胸がいっぱいで顔を見上げたまま込み上げてくる感情を抑えられない。

「うれし、、」

嬉しい。ありがとうと言いたいのに上手く声にならない。
こんな顔見せたくないのに。
ソファに置かれた紙袋のブランドの名前に安く無い物だとわかる。

「あぁ〜、なんで泣くん」

どうしたん、と慌てた彼の指が頬を拭う。
ごめんね、でも待ってねという気持ちで止められないでいると大きな手が後ろ頭を覆った。

「嬉しい?」

こくこくと頷くと安心したように笑ってくれた。
泣かせたくて買った訳じゃないという彼の言葉に頑張って少し笑うとソファを降りた彼の額が私の額にくっつけられた。

「笑って」

両頬を包む彼の手に自分の手を重ねておでこをくっつけたまま小さく頷く。

「嬉しすぎてまだ無理」

鼻声でぐすぐすと答えると吐息で笑った彼の唇が優しく重なった。

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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 天月   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー!貴重な男性コメントありがとうございます!!しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです!!次のお話でも宜しくお願い致します! (2019年8月8日 3時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します!初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ;__; )!長くお付き合い頂いてありがとうございます!もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね!これからも楽しみにしております! (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年7月14日 15時

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