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(寝れない)
夕食を済ませて部屋に戻ってお風呂も済ませた。
特にやることも無いし明日も早いから寝なければいけないのに慣れないシーツの音と枕に違和感を感じる。
一人で寝るという違和感も寝付けない理由だと思う。
何度も目を閉じて寝ようと試みるけど長く目を閉じることさえ出来ない。
寝返りをうってみても寝やすい体勢が見つけられなかった。
カーテンを閉めた部屋は真っ暗で何も見えない。
いつもなら暗闇に淡く光る彼の瞳がすぐ傍にあるのに。
手を伸ばしてもシーツの音がするだけでひんやりとした体温に触れる事は無い。
(どうしたん、起きちゃった?)
目を覚ますと頭を撫でてくれる手も無い。
(寝るまで起きてるから)
目を閉じて彼の声を思い出してもたった一晩なのに落ち着かない。
おやすみと送ったLINEには、ちゃんと寝るんやでと返事がきた。
今何してるんだろう。
どうしよう。
どうしても声が聞きたい。
寝れなくても明日眠いだけで何とか仕事はこなせる自信はある。
でもこのさみしさに耐える自信は無い。
彼の事を思い出せば思い出すほど心臓が締め付けられるような気がした。
(ちょっとだけ...)
真っ暗な部屋で明るすぎる携帯の画面のセンラと書かれた文字をタップするとすぐに電話に出てくれた。
「こら。寝やなあかんでしょ」
悪い子やなぁ、といつもより静かでゆっくりとした訛りのある聞きたかった声がじわりと身体の緊張を緩めていく。
なるべく声を殺して小さく笑うと彼も笑ってくれた。
「声聞こえちゃあかんのやろ?センラが勝手に話すね」
「うん」
「今日は来やんくていいって言ったのにあいつらが来てなー、あ。送ったやつ見た?」
小さく聞こえるか聞こえないかわからない程度にうん、うんと答えるだけの私に相槌を打つだけで返事が出来るように話をしてくれる。
「まだ眠くない?」
「うん」
しばらく声を聞いていたら眠くなるかと思っていたのにさみしさが募るばかりで余計寝れそうに無い。
「俺がおらんと寝られへん?」
「、、、さみしい」
いつもの様なからかう声色に答えた自分の声は驚く程甘えた声になってしまった。
「可愛い。俺もさみしい。はよ一緒に寝たいな」
目を閉じて携帯越しに彼の声を聞いて、隣にいたらきっとこうしてくれていただろうなとゆっくりと頭を撫でてくれる感触を思い出す。
「歌って」
「あぁ、前の?」
いつの夜か歌っていた綺麗なメロディを聞きながら目を閉じていたら次に目を覚ましたのは朝だった。
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あーりん(プロフ) - 折_こたぬきさん» わー!貴重な男性コメントありがとうございます!!しかもキュンキュンして頂けているとは、、、すごく嬉しいです!!次のお話でも宜しくお願い致します! (2019年8月8日 3時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
折_こたぬき - 初コメ失礼します!初投稿から男子1人でずっとキュンキュンさせてもらってます!これからも更新頑張ってください! (2019年8月8日 2時) (レス) id: 5fe8b549a6 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ☆レム☆さん» 大好きと言って頂けて嬉しいです( ;__; )!長くお付き合い頂いてありがとうございます!もちろんこちらもフォロバさせて頂くので宜しくお願い致します! (2019年8月8日 0時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - またよろしければTwitterのほう、フォローさせていただいてもよろしいでしょうか?長くなってしまい申し訳ありません。これからもずっと応援しております(*^^*) (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
☆レム☆(プロフ) - はじめまして、コメント失礼いたします。投稿当初からずっと読ませていただいております。読む度に幸せな気持ちになれるこの作品が本当に大好きです(*^^*)無理はせず、あーりん様のペースで更新なさってくださいね!これからも楽しみにしております! (2019年8月7日 23時) (レス) id: d6601494c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年7月14日 15時