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162:天月 ページ28

「ちょっといいかな?」

お昼休憩になってすぐ、彼に電話をしようと財布を持って出掛けようとした私に話しかけた男性の姿に課内はざわついた。
私ですか?と首を傾げて一応返事をする。

「、、、はい」

「良かった!」

目の前の男性社員はにこやかに笑っていて返事をした私に答えた事でやっぱり間違いじゃなかったと再確認した。

(なんで...?)

話しかけられる理由が無い。
目の前に立つ爽やかな男性社員は社内でも出世頭と噂でその上イケメンだと女子社員から壮大な人気を誇る企画部のエースだった。
この間の飲み会でも、セクハラ祭りをする上司に加担しなかった唯一と言っていいほどの男性でそういえば飲み会の時に周りには助けを求める女子社員しかいなかったなと記憶を蘇らせる。
浮ついた話もなく仕事一筋だという噂も聞いたことがある。
狙っている女子社員が多数存在していることも。
そんな彼に突然声をかけられて、廊下からも密かに向けられている女子社員の視線が痛い。
きっと耳も澄ませているに違いない。
周りを見渡してもそんな彼に話しかけられた私同様接点の無いうちの課の皆は不思議そうな顔でいっぱいだし、目が合ってしまった高瀬さんの視線も痛い。


「センラさんの事で話があってね」

「え、、、?」

爽やかに笑い続けている彼の口から小さく出た名前に一瞬何の事を言っているのかわからなかった。

(なんで知って、、、)

彼はあの時名前は言わなかった。
何で知っているんだろう。
頭が理解してきた頃、どきどきと心臓がうるさくなってきた。

「天月くん、そいつは彼氏いるから口説くなら無理だぞー」

様子を見ていた上司が私たちに声をかけると知ってますよと天月さんは答える。

「Aちゃんの彼氏と大学が同じだったんですよ」

へー、と納得する周りの声が上手く聞こえない。
大学なんて、行っているはずがないのに何でこんな事を言うんだろう。
にこやかに返答する天月さんが何を考えているかわからないし何が目的なんだろうと怖くなってきた。

(センラ...)

彼の姿が頭を過ぎる。
彼とどうにかなってしまうんじゃないかと不安で仕方ない。
離れたくない。
つい五分程前までは幸せだったのに。

いってらっしゃいと笑って見送ってくれた彼の姿が頭から離れない。

とりあえず出ようと言う天月さんに、黙って頷くことしか出来なかった。

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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , センラ   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時

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