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視線が痛い。
男性ばかりの課にいる天月さんが女性と歩いてるところを私だって見たことがない。
天月さんを狙っているんだろう女子社員達の目が二人で歩くこちらにしっかり向けられている。

(私だって好きで一緒にいる訳じゃ...)

場所を変えようと言う天月さんに頷いて着いていく形になっているけどどこに向かってるんだろう。
なんで彼の事を知ってるんだろう。
着いてきて正解だったのかわからないけど彼の名前が出た以上知りたい。

少し先を歩いて話しかけられれば軽く挨拶を交わす天月さんの背中を見ながら色々と考えているといつものように爽やかな笑顔でとりあえず入ってと私たちの課が使用することはないだろう、重厚な作りの会議室の扉を開けた。


「ちょっと待っててね」

「、、、はい」

閉まる扉の音が重い。
天月さんの背中を見送ってからもそわそわとした気持ちで座る気になれず立ち尽くしたままだった。

(今頃センラと電話してたはずなのに)

いつも通りの仕事。
いつも通りの昼休憩のはずだったのに。
無性に彼の声が聞きたくなって携帯を見る。
そうだ、まだ彼に連絡を入れてなかったとホームボタンを押して画面が明るくなってすぐに天月さんは戻ってきた。


「何が良かったかわかんなかったんだけど、飲める?」

戻ってきた天月さんからカフェオレを差し出されて、大丈夫ですととりあえず受け取る。
開けないまま早く話してくれないかなと天月さんを見上げると目が合って更に笑顔が増した。


「何で知ってるの?って顔だね」

「え、、、」

とにかく何で彼の名前を知っているのかが気になっていた私は図星を付かれて言葉が出ない。


「違う?なんでセンラさんのこと知ってるの?って顔」

「それは、、、。出るはずのない名前が出てびっくりしたので」

どうしよう、まだ心の準備が出来ていないとしどろもどろになってしまった。
視線を逸らした私の耳に天月さんの笑い声が響く。

「そんな警戒しないで、、、て言っても無理かぁ。もう三人には会った?元気にしてる?」

みんなのことも知っているのかと驚いてまた視線を戻すとさっきと変わらない笑顔だった。

話していいのかわからない。
私が知っていることで何か危険な目にみんなが遭ったらどうしようと返事が出来ない。
何て答えればいいんだろう。

164→←162:天月



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設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , センラ   
作品ジャンル:恋愛
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時

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